6話 帰り道


 俺と葵は薄暗くなった空の下を2人で歩いていた。

 こうして2人で帰るのも5年ぶりだ。

 小学生の時はもっと日が明るい時間だったのが。


「えへへ。祐くんと一緒に帰れるなんて嬉しいなぁ。なん年ぶりだろうねぇ?」


 他愛のない話をいろいろしながら帰っている途中。

 葵がすごく甘えた感じて聞いて来る。

 だが分かっている。

 これはただ久しぶりに友達と帰るのか嬉しいだけだと。勘違いをしてはいけないと。


「そう言えば祐くんは中学校の頃とかどうだったの?とっても気になるな〜。好きな人とか居たの?」


 好きな人が居たのかと聞かれて俺は葵のことが好きだと言ってもいいのか。

 考えること1秒、 俺が出した答えは


「中学校の時か〜。好きな人俺も居たよ。誰かは教えられないけどな。」


 居ないよと言った方が無難かもしれなかったが、自分の中学時代、高校に入って今までの気持ちを否定するような感じがして俺はこう答えるしかなかった。


「ふーん、そうなんだ。その人のこと今でも好きなの?」


 かなりぐいぐい来る葵、やはり女子は恋バナが好きなのだろか。


「その人はさ、俺以外に好きな人が居るらしくって。だから、俺はその人が幸せになれるよう応援しよって言うかなんていうか。まぁそう言う事」


「そっか、失恋しちゃったのか。辛いねぇ。」


 いや、あなたになんですけどね。とは言わずまぁなとだけ返して歩いて行く。


「なぁ、葵。俺もう家着いちゃったんだけど。葵どこに引っ越して来たの?」


「え?小学校の時と同じ祐くんの家の隣だよ?だから、またよろしくね。」


 確かに葵が引っ越した後も隣の家に誰かが引っ越して来るとこはなかった。

 ただ、これには俺もびっくりした。

 そして別れ際。


「私は祐くんとした約束忘れてないよ。」


 それだけを言い残し葵は家の中に入って行った。


「約束か。確かに覚えてるっぽいけど全部じゃないんだろうな。5年前の約束なんて今更有効なわけないもんな。」


 ひとり呟いた俺も家の中に入って行った。




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