5話 2人の気持ち
プルペンで部活時間中ずっと投げていた俺たち。
そして部活も、もう終わり家に帰るところだ。
いつも以上に気合を入れてピッチングをした俺はもう、クタクタだった。
「ふぅ。みんなお疲れい。俺はもう先に帰るぞ。」
俺の声に反応して風間が声を掛ける。
「おう祐輔、若宮ちゃんとはどうだったよ?上手くいったか?」
少しからかうように親友の恋について聞こうとした風間に俺は意を決して言った。
「あぁ、最高だったぞ。なんて言うかさ、すごい安心するって言うか。俺ずっと葵と付き合いたいなとか思ってたけどもういいかなって」
「え?ちょちょちょ!何言ってんの!?嘘だろ!?」
風間は目を丸くして俺に問うた。
「いや、嘘な訳ないだろ」
「いや、ずっと若宮ちゃんのこと思ってたじゃん!いいのかそんなので!」
しつこく言ってくる風間に俺は少しイライラを感じながら答えた。
「あぁ!思ってたよ!だけど葵には俺じゃない好きな人が居るんだよ!もう、いいんだ。ただ一緒にハードボールやれるだけで...」
俺がここまで感情的に声を発することは無かった。好きな人を諦めるのは辛い。
まして、小学校の時にから好きだった人。
でも、ちゃんと諦めないと今後ハードボールを一緒にすることは出来ないと思ったからこそ俺は決断をした。
葵に恋愛感情を持たず、ひとりの友達として接すると。そして葵の恋を応援すると。
「その方がお互い良いと思うからな。じゃあ俺はこれで。また明日。」
部室のドアを閉め校門へ向かって行く。
すると後ろからタッタッタと走って来る音がした。振り返ってみるとそこに居たのは葵だった。葵は顔を赤くし、指をもじもじ上目遣いで
「あっあのさ!もし良かったら一緒に帰らない?私、前に住んでたところの近くだから祐くんと帰り道同じなんだ。どうかな?」
一瞬どうするべきか迷ったが、一緒に帰りたいという気持ちには勝てず一緒に帰る事を了承した。
(葵の方から誘って来たんだしこれはセーフだよな?)
歩き始めた俺たち。ふと横を向いて葵をみるととても嬉しそうにしていた。
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