柔らかなキス

篠岡遼佳

柔らかなキス


あなたは二度キスをした

一度目はそっと、二度目は確かめるように

それだけで真っ赤になる私へ

あなたは微笑んで 指先にも触れてくれた




人はもちろん誰もが旅人で

だから、 いつか きっと を繰り返して歩いている

その望みは絶えることはなく

そして、いつか必ず叶うもの


晴れ渡る空に安らぎはない

限りなく砂漠を歩いて行く旅路


燃えさかる炎が私の身を焦がすものであったなら

私の罪も消え去っただろうか

一歩歩くごとに砂にうずもれていく足を

何度でも また何度でも と

焦りはしても ただ一歩ずつ進むしかない



そんなときに

あなたはそこに居た


水の集まる砂漠の木陰

木漏れ日の安らぎの木の下

ベンチに座って 私と目を合わせてくれた

人はいつまでも旅人だと思う

こうして出会うこともあるからこそ



約束されていたように私たちは出会う

そして約束されているように私たちはさよならと手を振る


だから、その前に


勝つために手段は選ばない

あなたの心に残ってみせる

そして、私の心にも

きっとあなたを



旅を続ける私たちは ふと立ち止まって視線を合わせる

指を絡ませ 旅人は風と水の祝福を受ける


キスしてくれたあなたを 私は愛しいと思った

だから 愛してると言うのは当たり前なのだ

だって、あなたのその微笑みも、唇も、柔らかな頬も――


私の旅を支えてくれる 愛そのものだから


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柔らかなキス 篠岡遼佳 @haruyoshi_shinooka

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