338 魔族襲撃(3)
「その上でシャイニングブレードーーーー!」
ああ、魔剣に魔力を上乗せするのね。うん、ようやく戦いになりそうな気がする。
、、、5分後、「シャイニングブレードーーーー!」
まあそうだね。魔剣使っても魔力を込める時間は短縮できないしね。
俺は剣に魔力を込めて受け止める。
そらしてもいいのだが、魔剣の能力に衝撃破系の能力がついてたら城壁に影響が出るかもしれないからね。
ガシィん!
今度は折れなかったようだ。
「何!我の魔剣を受け止めただと!そうか!貴様の剣は聖剣だな!それなら受け止められてのもわかる!ならばどちらの剣術が上かと言う話だ!それなら我は負けん!部隊で3番目に強い我の剣術を見るがいい!」
なんとかって四天王の部下の部下で3番目?偉いのか、それ。
必死に剣を振ってくるが、大振りで剣術のけの字も感じられない。
「ふぅふぅ。やるじゃないか。こうなったら奥の手だ!ギャブレット、やれ!」
「なっ!一騎討ちなんじゃないのか!」
一応驚いておこう。口に出して指摘するのって大事だよね。
「ふん、勝てばいいのだよ!勝てば官軍、我の勝利は目の前だ!」
後ろに控えてた雑魚魔族が魔法を放ってくる。上司よりまともな魔法じゃないか?まあ剣に魔力込めてるから魔法ごと切れるんだけど。
しーん、、、
俺が魔法を切り飛ばしたら周囲が静まり返った。
いつの間にか魔物も攻撃をやめてこちらを見ている。
騎士たちもこちらを見てるようなので、戦況は落ち着いてるのだろう。
「あっしの魔法が!キリング様!これはまずいですよ!」
「う、うむ。ここは逃げ、、、いや戦略的撤退だ。後進!後進!魔物は我らの後進する時間を稼げ!」
うーん、こんな雑魚倒しても意味がないかもしれないけど、なんか面倒臭そうだし、倒しておくか。
しゅぽんっ
キリングの首が飛んだ。
「キリング様!覚えてろ!」
ギャブレットは地面に何かを叩きつけて消えた。多分前にも使った転移石だろう。あれ欲しいんだよな。毎回一個持ってるなら倒したらもらえるかな?
「ジン殿、あれはなんだったのでしょう?」
騎士団長さんだ。魔族がいなくなったので出て来たのだろう。
「さあ?前に来た魔族とは違うんですか?」
「ええ、前の魔族はもっとすごい魔法を使って来ましたし、剣の腕もその辺の騎士では勝てないほどでした。
今回のような魔族が一般的ならジン様に依頼するまでもなかったんですが」
なるほど、部下の部下らしいからな。
俺は風の刃を広範囲にばらまき魔物を間引く。
城門からも冒険者が出て来て、魔物を倒していく。それほど強い魔物もいなかったので大丈夫だろう。
「それに魔物ももっと強いのたくさんいました。目立つのではサイクロプスとかでしょうか。すごく大きい人型の魔物で、目が一つしかありませんでした」
一つ目巨人か。巨大な体躯でその強力な筋肉から放たれる棍棒の威力は半端ないという。
「前に攻められた時は後方から動かなかったので被害はありませんでしたが、あれが前線に出て来てたら城門も危なかったかもしれません」
どうも魔族が本気で襲って来てるような気がしないんだよな。何が目的なのやら。
「ジン様、お疲れ様でした。魔族の討伐ありがとうございました」
「いや、それはいいんですけど、前に来た魔族とは違うんですよね?それになんか弱かったですが」
「そうですね。見てましたけど、冒険者の方が強いんじゃないでしょうか?」
「そうですよね。あれが魔族の標準なら楽なんですが。いや、わざと弱いのを出して来て油断さるつもりかも。油断したところで強い魔族が出て来たら一気にやられてしまいますから」
「ええ、なので逆に警戒を強めるつもりです。ジン様は部屋でおやすみください。後始末は騎士団の方で行いますので」
「ええ、そうさせてもらいます。なんか気疲れしました」
俺は一人部屋に戻って体を拭く。
「あれが魔王軍の標準だと考えるのはまずいな。今回のやりとりもずっと拡声魔法で流してたみたいだし、わざとなんだろうな。
キリングとかいうのがあっさりと死んだけど、あれは捨て石だろうな」
使っていた魔剣を確認したが、普通の長剣に魔力を付与したものだった。込められている魔力はそこそこあったが、魔剣としては不良品だろう。あれじゃ数年で魔力が漏れて普通の剣になってしまう。
「ジン様、お食事をおもちしました」
「ありがとう、マリア。外の様子はどうなってる?」
「はい、騎士にも被害はなかったようで、魔物の死体を片付けているようです」
そうか。でもあんなのを小出しにされたらたまらないな。何か打てる手はないかな。
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