337 魔族襲撃(2)
「ジン、いや、コースケよ。我が部下の仕事を邪魔したのは許し難い。お前はここで殺す!」
ああ、この魔族、こないだの魔族の上司か。それで俺の名前とあの時名乗ったコースケとの境界が曖昧なんだな。
あんなしょぼい魔族を邪魔したくらいで怒らなくてもいいだろうに。
「そうだそうだ!パルスェット様の部下の部下の部下であるギャブレット様に歯向かった事を後悔するがいい!」
ならあの魔族がパルスェットとか言う魔族なのかな。
「私の名はキリング!パルスェット様の部下の部下である!我に殺される事を光栄に思うがいい!」
あ、ギャブレットとか言う奴の直属の上司だ。四天王の部下の部下って偉いのかね?
「ファイアーボルトーーーー!」
俺に向かって火の矢が飛んでくる。一本だけ。
俺は使ったことがないが、火魔法の初級だったはずだ。
ペシっ
魔力を纏った手で叩き落とした。
「この!我の魔法を叩き落とすとは不遜なやつ!ならば我が最強の魔法を見せてやろう!」
「ファイアーストームーーーーー!」
範囲系魔法はまずいな。俺は耐えれても周りが被害を受ける。
「皆は離れてください。あれは俺が相手します」
そう言って周りに離れてもらうが、まだ魔法がこない。
ボオッッツ!
城壁の手前で火柱が上がった。それなりに強力なようだが、距離を間違えたらしい。
「うむ、我の魔法は素晴らしいな。この威力、範囲、発動速度。どれをとっても一流。これなら昇給も近いだろう」
あー、拡声魔法がまだ生きてるな。
それにしても昇格ですらなく、昇給か。魔王軍って給料制なのか?
「あー、魔法届いてないぞ?」
こっちからも拡声魔法で教えてやる。
結界魔法も用意してたのになんとも残念な状況だ。
「むっ、貴様!我の魔法を躱わすとは相当実力のある冒険者とみた!我と一騎討ちを所望する!」
いや、魔法自体が届いてなかったんですが。
でも一騎討ちなら話が早い。他の騎士や冒険者に被害が出ずに倒せるだろう。
俺は城壁を飛び降りてキリングとか言う奴の前に出る。
「うむ、我が前に恐れずに出てくるその胆力は褒めてやろう!だが、我の剣術の前に貴様はひれ伏すのだ!くらえっ!」
多分アイテムボックスから取り出した剣で切りかかってくる。
ふっふっ
俺は剣で流して相手の剣術のレベルを確認する。
ガチんっ!
あ、上段から振り下ろした剣が地面を叩いた。まさか剣を止めれないとかないよね?全力で振ったら確かに止めるのは難しいけど、まさか全部全力で振ってるの?
「この!避けるな、下郎!」
いや、そんな大振り、当たるわけないでしょう。俺まだ一歩も動いてないよ。
「ふふふ、貴様もやるようだ。剣の腕は互角だと認めてやろう!」
いや、全然互角じゃないんですけど。
「我の必殺技を見せてやろう!シャイニングブレードーーーー!」
いや、魔族がシャイニングって。
あ、本当に剣が光ってる。あれは魔力を込めてるのか。なるほど、魔力剣か。それならこっちも剣に魔力を込めて受けないと剣毎斬られるな。
、、、まだ?
キリングは必死に集中しているのが丸わかりだが、剣に纏う魔力は少しずつしか増えてない。
「集中、集中、そう、俺なら出来る。昨日はちゃんと発動した。大丈夫。俺なら出来る」
なんかぶつぶつと呟いてるけど大丈夫か、こいつ?
、、、まだ?
「よし!行くぞ!」
5分くらいかかったかな?待ってる間に首を跳ねても良かったんだけど、正直真面目に対応するのがアホらしくなって来た。
「シャイニングブレードーーーーーー!」
光り輝く剣を大上段から切り下ろしてくる。
俺はそれに合わせるように受け止めて、、、相手の剣が折れた。
あれ、そんなに魔力を込めたつもりはなかったんだけど。
「んがぁぁあ!ギャブレット!剣が折れたぞ!貴様どこで買って来た?!」
「普通に人族の武器やで買って来ましたけど?」
「なんでもっと強い武器を買ってこなかった?!魔力に耐えれない剣なんて意味がないだろうが!」
「だって、金貨1枚じゃ大したの買えませんって」
「そんな訳なかろう!我の小遣い全部注ぎ込んだんだぞ!」
小遣い?
「ああ、もういい。こんな奴を相手に使うのはもったいないが、パルスェット様からいただいた魔剣を使う!出よシャイニングソウルーーーー!」
またシャイニングうんたらですか。
キリングが取り出した剣は確かに魔力を帯びている。結構いいやつのようで、確かに光っている。さっきのシャイニングなんとかって言う技よりも強力そうだ。
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