336 魔族襲撃(1)
「お久しぶりです。教皇猊下」
「おお、久しぶりですな。聖女様から聞いておりますぞ。タスクの街で魔族を撃退されたとか。この首都も守ってくださるとか。期待しておりますぞ」
「それなんですが、条件を確認させてもらってもいいでしょうか?」
「条件?」
「ええ、依頼を引き受けるのに依頼内容と期間と報酬を決めるのは当然かと」
「ああ、そう言う事か。聖女様から聞いた話では期間は1年、内容は聖遺物の護衛、報酬は白金貨30枚、だったか」
「ええ、その通りです。例え魔族の襲撃がなかったとしても1年で終了しますし、1年経ってなくても魔族を倒したら終了します。それで報酬の話ですが、、、」
「白金貨50枚。それだけ出しましょう。これは我が国だけではなく、他国からの支援金も含んでいます。場合によってはこの首都を襲ってくる魔族だけでなく、他の国の聖遺物の護衛も対象にしていただきたい」
「ですが、魔族を倒したら依頼は終了ですよ?」
「なので依頼の条件を少し変更したもらいたい。
期間は1年。ただし魔族の数は複数。報酬は白金貨50枚プラス魔族1体ごとに白金貨3枚。
これでいかがですかな?」
なるほど。1年間は使い切ると。
「ですが、魔族の襲撃を受けてから移動したのでは間に合いませんが」
「襲われそうな聖遺物の場所や王都などの防衛と考えてくだされば結構です。時期や場所は各国で話し合って決めます。流動的になりますが、Sランクの冒険者が行方不明になるほどの相手です。おそらく有効な戦力はジン殿ただ一人。
一番重要な場所に配置するのは当然ですな」
まあわからんでもない。しかし1年間の拘束か。とっとと魔族を倒して自由になろうと思ってたんだが。
各国が共同でも依頼となると場所を移動するのも仕方ないか。
「どうですかな?」
「わかりました。報酬の支払い方はどうなりますか?」
「白金貨50枚はここで先払いします。魔族毎の討伐報酬はその時にいた国で支払われます」
「わかりました。衣食住は用意してもらえるんですね?」
「ええ、各国の王都ではすでに準備されています。地方になる場合は宿を押さえます」
「ではそれで結構です。とりあえずはこの首都を襲ってる魔族ですね?」
「ええ、この国の西側の山の裏、海沿いに本境地があると見ていますので、こちらから襲撃した方が早いかもしれませんね。はっはっは」
いや、笑い事じゃないよ。拠点を作られたら厄介じゃないか。召喚も楽になるだろうし。
それに、海沿いというのが良くない。魔族は西の海から船でやって来たと言ってた。もし、他にも船が来てたとしたら、魔族が増えてる可能性もある。
「情報が入り次第お知らせしますので、とりあえずは部屋を用意しましたのでお休みください」
うーん、魔族魔族ねえ。どうやって戦おうか。まさか不死とかいないよね?
「ジン殿?」
「ああ、すいません。少し疲れてまして。休ませてもらいますね」
おっと教皇様の前で考え込んでしまった。部屋でゆっくり考えよう。
「ジン様!私たちにも個室をいただきました!すごい広いお部屋なんですよ!」
どうやらマリアとクレアにも部屋が与えられたようだ。まあこの城にいる限りはメイドにも困らないから、一緒にお客様扱いでいいんじゃないかな?
一月が経った。
魔物の襲撃は何度かあったが、それほど激しいものではなく、騎士団と冒険者で十分対応できる範囲だったようだ。
俺が何してたって?城でのんびりしてたよ。俺の役目は聖遺物を守る事。もしくは魔族を倒すこと。魔物相手に魔力を使って、魔族が出て来たときに魔力切れですなんてならないようにね。
一度城壁から見物したことがあるが、結構戦い慣れているようで、それほど被害も出てなかったし大丈夫だろう。
「聖女とやら!お前には死んでもらう!」
多分風魔法だろうけど、声を拡大して伝えて来た。
魔族だ。
どうやらようやく草の根運動が身を結んだらしい。魔族が直接出て来てくれた。
「魔族よ!魔王の自由にはさせません!こちらのジン様がお相手します!」
いや、セルジュ様?俺が戦うんですけど、名前をバラすのやめてくれます?俺にヘイトが向くんで。
「よかろう、ジンとやら。見たところそれほど強そうには見えんが、聖女が戦力として頼りにしてるのならそれを打ち砕いて、、、」
「旦那、旦那、あいつですよ。こないだお話ししたやつ。例のやつです」
なんか拡声の魔法に乗って誰かの声が混ざってくるな。
「うん?ああ、ちっと黙ってろ、今良いところだ。人間どもに恐怖を与える演説をするところなんだから」
なんだか聞いてて残念感が半端ないな。せめて聞こえないところでやってくれませんかね。
「よかろう、ジンとやら。見たところそれほど強そうには見えんが、聖女が戦力として頼りにしてるのならそれを打ち砕いてくれん!いざ尋常に勝負!」
え、テイク2?宣言のやり直しってありなの?
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