250 魔力禁止空間?
<光魔法>で灯りをつけようとしたが、魔法が発動しない。
「灯りよ!」
「ライト!」
「炎よ!」
詠唱なんて使ってないからなんと発音しても一緒なのだが、発動しないので、ついいろんな言葉を叫んでしまう。
魔法が使えない?
これもトラップなんだろうか?魔法が使えない空間なんて聞いたことがないが。
でも昔のRPGにはそういうトラップもあったような気がする。
体内の魔力はちゃんと循環している。よし。魔力を抜かれた訳じゃないようだ。魔力を放出、、、すると手応えなくただ魔力が消費される。
これは魔力が拡散する空間なのか、魔法が使えない空間なのか。
どちらにせよ、魔法が発動しない事に変わりはない。
仕方ないので<インベントリ>からランタンと火口箱を取り出そうとしたが、<インベントリ>も使えない。
マジックボックスなら分かるが、<インベントリ>まで使えないとは。<インベントリ>も魔法扱いなのか?
マジックバッグは、、、うん、使えないっぽいな。
とにかく魔力が使えないとなると、腰に吊るしている剣と水袋くらいしかない。
こん真っ暗な空間では魔物が出てきたらやられてしまう。
とりあえず、後ろが壁なのは分かっているので、壁に沿って移動することにしよう。このまま待ってても食料もないのではどうしようもない。
まずは深呼吸して、、、スーハー、、、よし。右手法で進むか。
ゴツン
10歩も歩かないうちに頭を打った。地味に痛い。
どうやら壁に突き当たったようだ。角度はほぼ直角だな。部屋の可能性が高くなってきた。
さらに壁に沿って進むと20歩ほどで壁に突き当たった。これは完全に部屋だな。密室じゃないといいんだが。
角度はやはり直角。
壁に沿って進むと10歩程で手に感触がなくなった。どうやらここが入り口らしい。扉があるかと思っていたんだが。
念のため、さらに壁に沿って進み、他に入り口が無いかを確認しておく。
入り口は一か所だけのようだ。
さて、問題は2つ。魔法が使えない範囲がどこまでかと、上に残してきた二人がどうしてるかだ。
魔法が使えるようになれば、俺の心配はいらない。だが、使えないままではいつ殺されるかも知れない。
上に残してきた二人が、そのまま地上に上がってくれれば良いが、あの階層に留まられると、二人の戦力だけでは心許ない。いや、一回の戦闘なら問題ないけど、二人だけでは寝てる間の障壁が張れないから、休憩がろくに取れないはずなのだ。
交互に休憩を取って休むにしても余計な時間がかかるので地上に戻るのに時間がかかる。
俺の事を気にしてその場に留まられると、食料の問題が出てくる。
もちろん二人のマジックバッグにも食料は大量に入っているが、問題は水だ。二人とも<水魔法>は使えないので、持っている水が生命線なのだ。ちなみに今までは俺が水を出していた。
メアリーが<水魔法>を使えたはずだが、今回は連れてきてないしな。
二人の心配してもどうしようもないので置いといて、俺の問題だな。
転がり落ちる途中で魔力を感知したので、何か魔法的なトラップなのは間違いない。下手すると、6層ですらない可能性もある。転移のトラップとかだとどこに飛ばされるかわかったもんじゃないしな。
とにかくここが部屋なのは分かったが、もう一つ分かったことがある。ここは部屋だ。いや、別に今更確認する事じゃないとか言わないで欲しい。この部屋はダンジョンのような土で出来た部屋ではなく、石造りのちゃんと人の手が入った部屋なのだ。
扉がなかったのに驚いたのはそのためだ。
てっきり牢屋のような場所に落とされたのだと思っていたので、扉がないのに驚いたのだ。
石造りで角が直角の部屋、となると、人の手が入っていると思うのは当然。
今まで潜ったダンジョンで石造りの部屋というのはなかった。遺跡ならあったが、あれはダンジョンではない。
部屋に残ってても助けが来る希望はないので、部屋を出て右手法で進む。今度は頭を打たないようにちゃんと手を前に出して進む。
バタッ、ゴツン
痛てて。石造りの床に段差があった。ちょっと出っ張っていたようだ。
さて右の壁を、、、無い?転ぶ前は右に壁があったはずなんだが。
左に手を伸ばすと壁があった。
え?転んだ拍子に反対向いた?それとも反対側の壁方向に転んだのか?
何にせよ、方向がわからなくなったので、元の部屋に戻れるかすら確率は半分だ。まあ、戻っても何もないが。
近くにあった壁から改めて右手法で進む。別に反対側の壁からスタートしても良かったのだが、どうせどっちに行っても確率は一緒なのだ。近くの壁から始めても良いじゃないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます