249 トラップ
ようやく攻略にかかれる。
先日マリアとクレアが6級に昇格したのだ。
これで攻略に制限がなくなった。ずっとダンジョンに潜っていても文句を言われないのだ。ちなみに俺はまだ10級のままだ。特にギルドに文句も言わなかったので、忘れられているのかも知れないが。
最近、メアリーが洗濯を覚えた。マリアが教えていたらしいが、ようやく生地を痛めずに洗濯できるようになったとか。本人は暇だから覚えたと言っているが、俺はリリアに競争意識を持ったからだと思っている。リリアは既に洗濯はできるようになっているのだ。
普通の事だと思うかも知れないが、洗濯機のないこの世界、貴族のリリアが洗濯なんてしたことがある訳が無い。
だけど、俺と結婚してからはマリアに家事を習っており、掃除洗濯料理まで一通りはこなせるようになっている。
メアリーも王族なので家事なんてした事なかったはずだし、必要だとも思ってなかっただろう。
だけど、この獣人大陸で俺たちがダンジョンに潜っている間、借りた家を管理しているリリアに触発されたらしい。さすがにリリアに教わるのは躊躇っていたので、マリアに教わったらしい。
まあ、家事が出来るに越したとこはないので良い事だが、俺にアピールしくるのはやめて欲しい。洗濯は俺も出来るからね。
さて、俺たちは今第6層を攻略している。
今回からは時間無制限なので、食料を大量に持ち込んで、一気に攻略を進めるつもりだ。
「クレア、右を頼む。マリア、一気に後ろに抜けてアーチャーを倒せ。
クレア、矢が飛んでるぞ!命中率が悪いからと言って無視するな!」
攻略は順調に進んでいるが、ゴブリンの上位種が増えてきたことによって、戦闘が大変になってきている。これは下層を攻略するパーティーが人数をつぎ込むのもわかる気がする。
最近は魔力障壁も張れるようになった二人だが、魔力の残量を気にしているのか、ちょっとでも逸れそうな矢は無視している傾向にある。
この階層はまだ良いが、下の階層になると毒矢を使ってくるのもいるらしいので、癖がつくと大変なことになる。
「マリア、一撃で倒せなくても良い!弓は体勢が崩れただけで撃てなくなる!」
まだまだ課題が多い。
俺は自分で倒した方が早いのはわかっているが、下層を攻略するのに俺一人で攻略できるとは思ってないので、急いで二人のレベルを上げさせている。
二人の身体lvは一般の冒険者からしたら高い方になるが、俺の攻略についてこれるようにしようとすると、物足りない。
なので戦闘もほぼ二人に任せて、俺は指揮を取っているのだが、自分で手を出せないのがまだるっこしくて仕方がない。
ちょっとイラついて、厳しく指導してしまうのは仕方がないことなのだ。多分。
10日ほどして休憩を取っていた。未だに第6層だが階段は見つけてある。今は次の階層に行く前に体を休めているところだ。
「二人ともだいぶ良くなってきたが、まだ継戦能力が低いな。特に魔力障壁がネックになっている。障壁に角度をつけるなどして少ない魔力で運用するのを心がけてくれ」
魔力障壁は何も正面から受け止めるだけが能じゃない。もちろん普通は正面から受け止めるのが普通だが、密度を薄くして突き抜けるのを前提とするのならば、斜めに障壁を張ることによって、少ない魔力でも矢を逸らすことが出来る。
もちろん魔法はちゃんと密度を持たせないといけないが、矢を逸らすだけなら今の半分の魔力でもいけるはずなのだ。
ちなみに俺はそんな事は気にせず、魔力任せに障壁を張っている。今の戦闘ペースなら魔力の回復の方が早いのだ。
「すいません、戦闘中はつい力が入ってしまって。気をつけます」
マリアが殊勝なことを言っているが、最初に注意してから既に5日は経っている。一度地上に戻って、冷静な状態で訓練すべきか?
いや、戦闘で力が入って魔力を使いすぎるというなら、戦闘中に直さないといけない。それなら休憩を多めにして攻略を続けた方がいい。
俺が壁に背を任せて力を抜いた途端、後ろの壁が消えた。
いや、もともと無かったと言った方がいいか。どうやら幻覚の魔法で通路が隠されていたらしい。
俺はそのまま後ろに倒れ込み、急な坂道を転がり落ちていった。
そして上からは爆発のような音がし、土が流れる音が。
どの位転げ落ちただろうか。気がつくと真っ暗な場所にいた。転がり落ちる途中で魔力を感知したので、何かのトラップに引っ掛かったのだと思う。
落ちてきたと思われる方向に手をやるが、壁があるのを感じられるだけで、落ちてきた穴がある感じはしない。
<光魔法>で灯りをつける、、、つける、、、つかない?
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