180 え?パーティに?
「それなら、ケント司祭をどうにかしてほしいですね。私が黒目黒髪だと言う事で、異端審問にかけようとしてきましたから」
「それは本当ですか。女神様は髪の色で差別する者ではありません。民衆の中にそう言った考えが広まっているとは知っていましたが、まさか司祭までがそんな勘違いをしているとは。ケント司祭でしたね。こちらで処理しましょう」
おお、さすがは聖女様、権力あるね。
「それで私がお仕えする件ですが、旅に同行するのが一番だと考えています。なので、これからはセルジュと呼び捨てにしてください」
「いや、ダメでしょう?神殿はどうするんですか?」
「教国のことは教皇様がいれば十分です。もともと私は政治には関わっておりませんし。
それに教皇は信心深く、民にも優しいです。税が少し重いようですが、その分で孤児の救済などを行なっております。これはどちらがいいと言う問題ではありませんので、ここでは議論しませんが」
「私たちは冒険者として旅してますので、聖女様には無理かと」
「では、私も冒険者登録しましょう。これでも<神聖魔法>には自信があります。回復はお任せください」
「えっと、旅に加わるのは確定ですか?」
「はい、神託ですので」
「ちょっと困ると言うか、なんと言うか」
「何を困るのでしょうか?私に出来ることならなんでも言ってください」
うーん、回復役か。確かにパーティにはいないな。俺が使えるのは置いといて、だ。
悪くはない。問題は神殿の紐付きにならないか、だな。聖女様なら神殿と俺とを比べたら、神殿を選びそうだし。
ここは気になってることから聞いて行くか。
「いくつか質問があるのですが、イングリッド教は女神イシュタルを信仰していると聞いていますが、他の神々の立ち位置はどうなってるんでしょう?」
「神殿は女神様だけでなく、他の神々も奉じていますよ。
この宗教が起こった頃には<神託>をいただける、女神様しか神様がいるとは分かっていませんでした。なので、女神教とでも言うべき宗教でした。女神様が直接<神託>と言う形で関わっていただけているので、女神様だけだと思っていたのです。
しかし長年の<神託>で他の神々がいることが分かり、他の神も奉じることなりました。創造神様がいるので、本来なら創造神様を中心に奉じるべきなんでしょうが、すでに女神教として歴史を刻んでいたので今のままになっています」
「それでは、聖女様の立ち位置は?」
「はい。聖女は<神託>を受けれると言う以上の価値はありません。私の言葉全てを<神託>だと勘違いする者もいますが、大きな勘違いですね。<神託>はそう頻繁にあるわけではありません。今回の<神託>も1年ぶりになります」
「どう言う内容の神託が下りるのですか?」
「大概は飢饉が起きるとか、戦争が起きるとか、そう言ったことです」
「それ重要じゃないですか!」
「そうですね。だからこそ聖女として崇められています。ですが、<神託>は神殿にいなくても受けれます。なので旅にでも問題ありません」
「私たちは将来、魔族の国にも行きたいと考えているんですが。。。」
「それも問題ありません。女神様は特に魔族を差別していません。ダメならそう<神託>が下るでしょう」
うーん、次々と潰されて行くな。
「私は男なんですが。。。」
「男性と一緒にいると何かあるのですか?」
「いや、他の人から見ると、ハーレムにみえるらしいんで。そう言う目で見られるかと。。。」
「私が違うと分かっていればそれで良いです。その位の区別が出来ないと聖女は務まりません」
男性と一緒でも構わないのか。気にしなければ良いと言うのは聖女としての自信の表れかな?
それにしても、断る理由を片っ端から論破してくるな。回復魔法は欲しいけど教会がバックについてるのは、メリットだろうかデメリットだろうか?
「か、考えさせてください」
自分が日和ってるのは分かってるよ?だけど、ここまで言われちゃねぇ。そういえばメアリーもかなり強引についてきたな。俺って強引なのに弱いんだろうか?
「会議のお時間です。パフーパフー」
「聖女様と何かあったんでしょうか?」
マリアが聞いてきた。
「ああ、聖女様がパーティに加わりたいと言ってきた。正確には俺に仕えたい、だな」
「聖女様が!おめでとうございます!これで教会公認ですね!」
「おめでとうご主人様!さすがご主人様だ」
「聖女様が、、、これは強敵出現ですね」
メアリーが何か言ってるが無視だ。
ん?リリアが何も言ってこない。
「リリア?」
「あ、あの、聖女様もジン様の側室になられるんでしょうか?」
「ん?そんなつもりはないぞ?ただのパーティメンバーだ。メアリーもそうだろう?」
「そ、そうですよね、つまらないことを聞きました」
「それと、これはあくまで打診で、受けたわけじゃない。受けるかどうかを皆と話しがしたかったんだ」
「え、聖女様の<神託>なんですよね?受けないんですか?」
マリアは信徒なのかな。
「あー、この中にイングリッド教の信者は一手をあげて」
全員が手をあげた。なるほど、聖女の言うことに賛成するわけだ。
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