160 ヤパンニ王国 (2)


結局、盗賊は3団体いた。

どれも全滅させたが、装備が貧弱だ。流れ者なんだろう。敗残兵かもしれない。


ヤパンニ王国の荒廃ぶりが目立つな。

まあ、二年前に戦争に負けて、属国になってるしな。まだ戦力は整ってないだろうし。


これは観光する余裕はないかもしれないな。



俺たちは王都まで来た。国境を超えてから王都まで3日で盗賊3団体だ。どれだけ治安が悪化してるかが良くわかる。王都の治安も悪いんだろう。気をつけないと。


王都では、入り口での検問もなかった。

警備兵すら数が足りないのだろうか?


メアリーとマリアにギルドで情報収拾を頼む。俺は付き添いだ。Sランクのカード出すわけにいかないし。

どうせなら、ここで新規登録していくか?べスク王国に入るときにギルドカードあると楽だし。


「すいません、新規登録お願いしたいんですが」


「はい、新規登録ですね。こちらにご記入ください。念の為確認しますが、お尋ね者じゃありませんよね?」


「そう聞いて、お尋ね者です、と答える人はいるんですか?」


「いえ、いませんが、昨今の事情から、一応確認することが義務付けられてますので」


「そうですか。はい、これでお願いします」


「はい、ではこちらの水晶に手を当ててください。はい、結構です。冒険者ギルドへようこそ。ギルドの説明は要りますか?」


「一応お願いします」


「はい。ギルドはランク制をとっており、、、

、、、

、、、

以上です。何かわからないことがあれば、受付に聞いてください」


うん、ギルドは通常運転だね。特に説明も変わったことはなかった。

戦時体制で、徴兵でもやってるのかと思ったよ。


「最近の治安はどうなんでしょうか?」


「ここ一年は治安は悪化しています。敗残兵だけでなく、逃亡兵なども増えており、一部が冒険者として、登録に来ています。

ギルドは犯罪歴さえなければ受け入れますので、先ほどの確認をした上で登録しています。

逃亡は犯罪に当たりますが、ギルドの規約上、逃亡の罪は問いません。なので、盗賊になったとか、そう言うのがなければ登録は自由となっています。

もちろん、口頭での質問ですので、抜けはあるでしょうが、どうしようもありません」


「そう言うのが判明したらどうするんですか?」


「ギルドへの偽証罪として、ギルド追放、および、警備兵への引き渡しです」


「なるほど。

では、話は変わりますが、安全な宿はありますか?ちょっとくらいなら高くても構いません」


「今の時期、完全に信用できる店というのはないのですが、高級宿のレッドベアー亭なら比較的安全かと」


「高級宿ですか。今のご時世やっていけるんですかね?」


「ジンさんのように、安全を買う商人が泊まっているようです」


「なるほど、ありがとうございます。宿に行ってみますね」




俺たちはオススメのレッドベアー亭に来ていた。


「一晩頼みたいんですが」


「一人銀貨2枚だよ。一人部屋と4人部屋でいいかい?」


「それでお願いします」


リリアが何か言いたそうだが、ここはその方がいい。



「マリア、食料は多めに用意してあるな?」


「はい、往復できるだけの分は確保してあります」


「なら、可能なだけ食料を補充しておいてくれ。今の王都では観光どころじゃないからな。いつ出発するかわからん」


「了解です」



「メアリー、特に王宮に用はないな?」


「ええ、ないですわね。用を作った方がいいですの?」


「いや、ない方がいい。下手に繋がりを作ると、たかってきそうで嫌だ」


「今のヤパンニ王国なら、いや、前もそうでしたが、藁でも掴みそうですわ」



「それで、どこか観光できるところはあるのか?」


「特にありませんわね。ヤパンニ王国に何を期待されてるのか知りませんが、本当に何もありませんわよ?」


「図書館とかはどうだ?」


「最初に売り払ってそうですが、王宮の東側にあったはずです」


「そうか、なら俺は明日、そこに向かう。

リリアは、マリアの買い物の手伝い。

それと、クレア、何か調べたいことがあるんだろう?明日は自由にしていいぞ?」


「助かる」


「メアリー、一緒についていてやってくれ。奴隷一人だと何されるかわからん」



クレアは前からヤパンニ王国の情報を集めようとしていた。もともとヤパンニ王国の傭兵団出身なので、その関係だとは思うが。知り合いでもいるのかね?



翌日、俺は図書館に向かったが、図書館は閉鎖されていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る