155 ヒャッハー
皇宮から宿に移って1週間。
どうやら研究者たちが戻ってきたようだ。
まだ皇帝陛下からの中止命令、届いてないよね?皇子の判断で諦めたのかな?研究に行き詰まったのかな?
なんにせよ、これで遺跡を自由に調べれる。
<転移>
発動しない。。。
遺跡の部屋、レイアウト変えたのかな?俺のイメージと合ってないと、転移は発動しない。部屋のイメージが多少ずれてても方向や距離も含めて、大まかに合ってれば発動するはずなんだけど?
これは直接行かないとダメなやつか。
でも片道30日もかかるんだよね。
うーん、そうか、確か山脈は海まで続いてなかったはず。
「メアリー、北、いやここからなら南の山脈だが、東の端は海まで続いているのか?」
「いいえ、途切れているはずです。ただ、馬車で移動できるほど平坦ではないと聞いていますわ」
そうか、馬車では無理なのか。馬車の本体はともかく、馬は<インベントリ>に入らないしね。どうしたもんか。
遺跡に行った足でヤパンニの方向に南下すればいいと思ったんだけど。
「ですが、ヤパンニ王国に行くなら、東の端なんて通らなくてもいけますわよ?
山脈の東側に馬車の通れる街道があるはずですわ。それほど往来はありませんけど」
「そいか。道があるのか。ならそれで行こう」
「なんの話ですの?」
「ああ、帝国の東に遺跡があるらしくてな。一度行って見たいんだ。それが東の端の方でな。そのままヤパンニ王国に抜けれれば、と思ったわけだ」
「なるほど、それなら東の街道が良いですね。場所を聞いておきましょう」
「ああ、頼む」
「東の遺跡ですか。何があるんでしょうね?」
「ヤパンニ王国か。。。」
「ちょっと、クレア聞いてますか?」
「あ?ああ、すまないマリア、ちょっと聞いてなかった。なんだった?」
「いえ、もう大丈夫です」
俺たちは、帝都から東に向けて出発した。
帝都の周りは平和だが、離れるに従って、魔物も出始める。
もちろん、盗賊もだ。
「ヒャッハー、ここは通さねえぜ!」
「荷物置いてとっとと去りな!」
「ゲハハハハ、女は置いていけよ!」
10人ほどの集団が馬車の先を塞いでいる。
「何を言ってるんでしょうか?
ご主人様がなさらないなら、私がお仕置きしますが?」
マリアが結構怒っている。どこに怒るポイントがあったんだろう?
「いや、私が行こう。最近鈍ってきたからな。盗賊なら遠慮はいらない。思いっきりいける」
「それもそうですわね。私も参加しますわ」
「あ、それなら私も参加しますわ」
メアリーもリリアも参加する気満々だ。
やっぱりよくわからないが、どこに怒るポイントがあったんだろう?やっぱり『ヒャッハー』が良くないのかな?世紀末っぽいし。
「ああ、適当にな」
「ご主人様の許可が出ました。あなたたち、楽に死ねるとは思わないことです!」
やっぱりマリア怒ってるな。
「なあ、クレア、マリアは何に怒ってるんだ?」
「さあ?多分『ヒャッハー』かな?私もイラっときたからな」
「そうか、やはり『ヒャッハー』か。それなら仕方ないな」
「あべし!」「ヒデブッ!」
ふむ。やはりそっちだったか。
マリアだけでなく、メアリーとリリアも切り倒している。
今日はメアリーも剣らしい。普段、魔法主体なのに、剣で大丈夫か?確かスキル持ってなかったはずだが。
ふむ、大丈夫らしい。王族って女でも剣が必須なのかな?スキルにまで昇華してないということは、技術はそれほどでもないんだろうけど。盗賊には十分なんだろう。
リリアも二人ほど倒してるし。あ、マリアが3人目倒した。短剣って結構強いんだな。
「マリア、その辺にしろ、楽にしてやれ」
半殺しにした盗賊を短剣でグリグリしている。
「は、はい!」
グサッ
「わ、我が人生に、、、ガクッ」
最後の盗賊が死んだ。
最後まで言わせてやった方がよかったか?
「装備を剥いだら、道の横に積み重ねてくれ。焼いてしまおう」
汚物は消毒しないとね。
「ご主人様、盗賊たちの根城を聞いてあります。大してないとは思いますが、お宝を頂いておきましょう」
マリア、そんな性格だっけ?
それとも、それほど『ヒャッハー』が許せなかったのか?
「ああ、案内してくれ」
盗賊のアジトという場所に行くと、洞窟があった。ありがちではあるが、山荘なんてないだろうから、必然的にこうなるんだろうね。
盗賊は嘘を言わなかったらしい。
洞窟はそれほど広くなかったし、お宝も大してなかった。
だけど一つだけ褒めてやりたいことがあった。
半透明の魔石を持っていたのだ。
通常の魔石は石炭のように表面はザラザラしている。それが半透明で、ツルツルしているのだ。
俺の<鑑定>には『蓄魔石』と出ている。
どこから見つけてきたんだろうか?
こんな事なら、一人生かしておくんだったな。
「マリア、この魔石について、何か言ってなかったか?」
「いえ、申し訳ありません。聞いていません。今からでも拷問しますか?」
いや、もう死んでるし。
「いや、いい。先を急ごう」
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