156 <転移>魔法陣


遺跡についた。


途中で魔物も出たが、アッシュさんの餌になってもらった。おかげでアッシュさんのレベルも上がった。


クレアとマリアが倒した魔物を食べさせるので、2度美味しい。


アッシュさんは相変わらず、俺の腰に巻きついている。そんなに気に入ったのかね?




遺跡で、俺はまず、俺の泊まっていた部屋を見に行った。

部屋はもぬけの殻で、調度品が一つも残ってなかった。壁につられていた、絨毯も撤去されていた。これではイメージと全然違うので、<転移>できなくてもおかしくない。

一つ疑問が解消されたので落ち着いた。


「マリア、この遺跡の隣の建物で、2−3日過ごす。簡単に掃除しておいてくれ」


「「お任せください」」


「ん?リリアもやるのか?」


「はい!お役に立ってみせます!」


「そうか、マリアの邪魔にならないようにな」


リリアは家事が得意でない。頭は悪くないので覚えはいいのだが、実行する段階でなぜか失敗する。相性が悪いのだろう。

まあ、やる気はあるので、やるというならやらせておけば良い。

メアリーは、、、最初からやる気なしか。まあそれも良し。

クレアは焚き木を取りに行っている。


俺は早速問題の土間を見に行く。

大丈夫、誰の手も入ってない。

<土魔法>で穴を掘っていく。10メートルくらい掘っただろうか。横穴が見えてきた。横穴に合わせて地面を作ると、俺はロープを垂らして降りていった。


横穴の先は部屋だった。遺跡と同じサイズなので、地下室は一部屋なんだろう。


中央に大きな魔石?が置かれている。

通常の魔石と違い、つやつやしている。色も半透明で、魔石のドス黒さとは違う。大きさは30センチくらいだろうか。魔石と比較するなら、ドラゴンの魔石より大きい。


盗賊のところで発見した魔石とよく似ている。大きさが違うだけで、同じ材質じゃないだろうか?


日誌からすると、この魔石?が魔力の貯蓄を担当しているはずだ。

見た感じ魔力は感じないので、空なんだろう。


俺は1ポイント魔力を流してみた。日誌には100万ポイントと書かれていたので、1ポイントくらいは大丈夫だろうと思ってのことだ。

流し始めた途端に魔石が淡い光を漏らし出した。たった1ポイントで反応があるのに驚きながらも、少しずつ流す量を増やしていく。

1万くらいでヤバイほどに光りだした。

俺はそこで注ぐのをやめたが、100万ポイントじゃなかったのか?


「ご主人様〜ご飯できましたよ〜」


マリアの声が聞こえてきた。ご飯の時間らしい。集中しているうちに時間が経っていたようだ。


「ああ、今いく」


ここを満タンにしてしまったという事は、上の魔法陣で<時空魔法>の魔力を込めれば、他の世界に転移するのだろう。

そんな危険を冒すつもりはないが、どうなるのかは興味がある。


真ん中に動物でも置いて、起動してみようかな?




食事の後、俺は再度、魔法陣に来ていた。中央に鳥型の魔物の死骸を置き、魔法陣の外から魔法陣に魔力を込める。書いてあった通り、<時空魔法>の魔力だ。


だが、魔力を込めても魔法陣が起動しない。どうも魔力が抜けてるような気がする。

魔法陣が一部風化してるのが原因だろうか?

遺跡を状態保存できるなら、魔法陣も保存しておいてほしい。


すると、突然魔法陣が輝きだした。

範囲が、魔法陣よりも広い。ヤバ、俺も範囲内だ。慌てて魔力を込めるのをやめて下がろうとしたが、先に魔法陣が起動してしまう。


意識がなくなった。。。




「ご主人様、何か大きな魔力を感じましたが?ご主人様?

クレア、ご主人様を知りませんか?」


「確か、そこの遺跡に入っていったはずだが?」


「地下も確認しましたが、いませんでしたよ?」


「何かあったのかもしれない」



「メアリーさん、リリアさん、ご主人様を見かけませんでしたか?」


「さあ?食事の後、遺跡に入っていくのをみましたが。。。」


「私も知りませんわ」



「ご主人様、どこにいったんでしょう?」



「もう夕飯時ですのに、まだ帰ってこられませんね」



「もう日が暮れてしまいました。。。」



「ご主人様。。。」



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