145 初級ダンジョン (2)
俺たちはダンジョンに向かった。
最初に大きな部屋があった。ギルドの出張所もあるようで、机が並べられている。どうやら、入っていく人と出て行く人を記録しているようだ。入るときに、名前を聞かれている。
そこには20人ほどの集団がいた。メンバーを待っているのだろうか?外で待てば良いのに。
「1日銅貨1枚で良いよー」
「こっちは鉄貨5枚だよー」
どうやら、違うらしい。
荷運びのポーターを売り込んでいるらしい。
1日50円って、と思ったが、雇われている間の食事が目的なのかもしれない。
俺たちはスルーしたが、マジックバッグも買えない冒険者は素材を自分たちで運ぶしかない。そうなるとポーターは収入を確保するために必要なんだろう。
入り口のギルドの出張所で聞いたのだが、スラムの人たちらしい。わずかな報酬で食い扶持を稼ぐのだとか。やはり、目的は仕事中の食事のようだ。
この街はダンジョンの街、つまり、冒険者の街だ。冒険者はいつ命を失ってもおかしくない。なので、孤児が増える。スラムも広いが、こう行った職業?が成り立つようだ。体が元気なスラムの人間はポーターをやってその日を暮らしていくらしい。
鉄貨5枚で何が食べれるのかは知らないが、スラムだしそれでも十分に生きていけるのだろう。
「地図いらないかー。5層までなら1層大銅貨3枚だよー」
地図も売っているらしい。確かに最初の方はゴブリンたちなので、スキップしたい。
「何層まであるのですか?」
「お、買ってくれるのか。5層までだ。それ以上はギルドに目をつけられるからな」
「ギルドに目をつけられる?」
「ああ、地図を見て、最短距離を行く初心者が多いんだ。1層のゴブリンが倒せたんだからいけると勘違いしてな。それで全滅するパーティが多いので、地図は5層までと規制しているんだ。このダンジョンは踏破されているので、当然ギルドは最下層までの地図を持っているはずなんだが。。。」
「なるほど、じゃあ、これで」
俺は5層までの地図を買った。
マジックバッグを持っている俺たちには関係ないので、無視してダンジョンに入る。
階段を降りていくと、広い部屋があり、そこから洞窟型のダンジョンにつながっている。兵士が10名ほど待機している。魔物が出てこないように、と言う対策らしい。
ダンジョンの1層目は洞窟型でゴブリンしか出ないらしい。地図を頼りに、5層まで一気に進む。6層からはマッピングが必要だ。右から総当たりしていく。
難なく10層までクリアする。まだ1日も経ってない。このダンジョンにはボスは存在しないらしい。よくあるダンジョンでは10層ごとにボスがいるもんだが。。。
一応区切りなので、今日はこの辺にしておく。マリアの作った夕食の後、交代で見張りをする。俺一人と、リリアとクレア、そしてメアリーとマリアだ。
クレア以外はダンジョンは初めてだろうに、平気な顔をしている。ダンジョンっていつ魔物が出るか分からないから、結構神経使うんだけどね。
俺の<魔力感知>もダンジョンとは相性が悪く、広い森林型のエリアならともかく、洞窟型ではそれほどの範囲は感知できない。不意打ちは流石にないが、通路の先にいたとか言うのは普通にある。
翌朝、朝食をとった後に階段を降りると、結構な長さの階段だった。結構深くまで階段を降りたと思う。
10層台は森林型と聞いていたが、かなり広い。壁側から出てくる形になるが、天井まで続いている。これだけ高さがあったら、階段が長いのもわかる。
森林型は洞窟型と違い、横や後ろからも回り込まれる。<魔力感知>である程度把握できるが、昆虫型の魔物は反応が小さく数が多いので、見逃しやすい。
地図がないので、マッピングしながらだが、通路で分かれているわけではないので、現在地を把握するのが難しい。一応四方が壁なので、大まかな場所はわかるんだが。。。
目隠しして、ぐるぐる回されたら、どの壁が最初の壁かわからないんじゃないだろうか?
下層への階段は、土壁の部屋があり、その中に階段が設置されている。部屋はツタなどで覆われているので、見つけづらい。まあ、他の冒険者たちがツタを払っているので、わからないと言うほどではないが。
このダンジョンは踏破されていることもあり、獣道のようなものがある。もちろん冒険者が頻繁に通るからだ。この獣道を見つけた時は、今までのマッピングがなんだったのだろうと思った。獣道を行くだけで下への階段に出る。
俺たちはガンガン下へ下っていく。獣道を見つけてからは早い。昆虫型の魔物は見つけたら、メアリーの<火魔法>で焼き払っている。<魔力感知>のいい訓練になるだろう。途中で野営を挟みながら、20層まで降りてきた。
このダンジョン、何階までだっけ?
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