131 魔力操作
ロービスに戻ると、リリアに心配された。
「ダンジョンに潜ると行ってから一月はたちますわ。
手紙の一つでも送っていただけたら、心配せずに済みますのに」
「手紙か、考えてもみなかったな。すまないな、今度は手紙を送るようにしよう」
「そうしてくださいな。
それで、思ったよりも早く帰ってこられましたが、何かありましたか?」
「ああ、クレアが<魔力操作>を覚えてなくてな。魔闘術が使えない。蟻型の魔物に刃が通らなくてな、先に<魔力操作>および魔闘術を覚えてもらうために、一旦帰ってきた」
「魔闘術ですか。私も使えませんわ。覚えておいたほうが良いのかしら?」
「もちろん、覚えていた方が良い。が、リリアの場合は先に体力をつけるのが先だな。
ちゃんと毎日走ってるか?」
「いえ、その、この頃色々と立て込んでまして。。。」
走ってないらしい。
体力がないと、冒険可能時間が減るから鍛えて欲しいんだが。
「体力つけないと、旅には連れていけないぞ?毎回馬車に乗れるわけじゃないしな。特に森の中なんかは障害物も多く、余計に体力を使う。戦闘も行えばなおさらだな」
「明日からまた走り出しますわ!一緒に旅ができないなんて、ダメですわ!」
「それなら、今日から走れ。ほれほれ着替えてこい。一緒に走ってやるから」
リリアは夕食も食べれないほど疲れて眠ったとか。
「クレア、そうじゃない、指先に集めるんだ。量は少なくてもいい。とにかく繊細な操作を心がけろ。指の先に魔力を集める感覚を養え」
俺はクレアの<魔力操作>を鍛えていた。無論、すぐにスキルが手に入るわけではないが、中途半端とはいえ、<身体強化>が使えるのだ。初心者が覚えるより簡単なはずだ。
「クレア、魔力が漏れてるぞ、それでは魔力の垂れ流しだ。ちゃんと指先に集中させろ」
クレアにはまず、魔力の操作を流暢にできるように訓練をさせていた。やっていることは簡単だ。指先に魔力を集中させること。だが、最初はこれができない。魔力の移動ができなければ指先に魔力は集まらないし、制御が甘ければ、指先以外にも魔力が集まったり、魔力が漏れてしまったりする。
魔力を放出する訳ではないので、出来るようになれば、魔力消費なく練習ができる。だが、初心者は魔力が漏れるので魔力が減ってしまい、長時間の訓練に耐えれない。
クレアもその状態で、そろそろ限界だろう。
それに魔力操作も長時間続けると精神的に疲労する。
クレアがダウンしたので、訓練はそれまでにして、お茶にした。
「ルナ、神経が休まるようなハーブティーはあるか?あればそれにしてくれ」
「承知しました」
クレアの疲労を少しでも取るためにハーブティーにした。
「クレア、訓練してみてどう感じた?」
「今までどれだけいい加減に魔力を使っていたかを痛感した。魔法とは奥深いものだな」
「そうだな。俺も強くなったとはいえ、限界は感じてない。一生かかっても限界はないのかもしれないな」
俺はすでに、この世界の限界と言えるlv10を超えているのだが、クレアはそんなこと知らない。クレアがlv10を超えるとは思えないが、それなりには使えるようになって欲しいものだ。
ちなみにマリアは<魔力操作>が使える。<土魔法>で練習したらしい。小さなゴーレムを作って動かして遊んでいたそうだ。その割には<土魔法>は上がってないけど。
クレアが<魔力操作>を覚えるまでに3週間かかった。
なんどもギブアップしそうだったが、許さなかった。これから一緒に旅に出て冒険するのに、身体強化がないとお荷物にしかならないのだ。野営のために購入したが、純粋に見張りしかできなければ、役に立たない。ある程度は自衛してもらわないと。
ちなみにリリアは戦力に数えてない。旅の途中で最低限自衛できればよい。旅には連れて行くが、魔の森などの対処できないような場所には連れて行かないつもりだしな。リリアは行きたいと言うだろうが、もっと強くないと、無理なのだ。学院で習うようなレベルではついてこれない。
メアリー?微妙なところだな。レベルもスキルもクレアと大して変わりないが、純粋な魔法タイプだ。体力に難ありだな。走って体力つけるように言ってあるけど、走ってるのかな?
旅に出る前に能力の確認しておかないと、どこで足を掬われるかわからないしな。
さて、クレアの次の課題は<身体強化>だ。指先に集めていたのを全身に広げるのだ。筋肉層まで広げれれば<身体強化>は成功。魔力の制御がちょっとでも甘いと魔力が漏れてしまい、効率が極端に悪くなるのだ。なので、<身体強化>は魔力を消費する魔法だとされている。<魔力操作>のレベルが高くなれば、この消費はある程度抑えれるようになる。
<身体強化>はもともと中途半端とはいえ、使えていたので、習得は早かった。だけど、魔力の漏れが大きく、あまり長続きしない。<魔力操作>を鍛えないとね。
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