129 ダンジョン (3)
戻ってから、宿屋でクレアと話す。今後の方針についてだ。
「クレア、5階層まではマッピングが終了しているから、1日で降りれる。問題は次に潜るのを何日に設定するかだが、次は新月をめどに一気に降りてしまおうと思うがどうだ?」
「5層まではゴブリンしか出なかったが、10層からは別エリアになるというから、そこで判断してはどうだろうか?」
「それもそうか。階層毎に違う様相の場所があるんだったな。森林エリアならともかく、火山エリアなどがあったら対策しないと危ないしな。よし、じゃあ、問題なければ新月、25日間だな、探索を続け、火山など問題のアリそうな場所なら撤退だ。いいな?」
「了解」
「明日は保存食の補充をしておこう。なのでダンジョンは明後日からだ」
俺たちは今後の予定が決まったので、それぞれで過ごした。
俺は道具屋を見にいった。ダンジョンのある街なので、なにか面白いものがないかと思ったのだ。
珍しいものでは、罠の解除セットなどがあった。下層に潜ると、宝箱があったり、罠が設置されてたりするそうだ。それらを解除するのが盗賊の役目だが、それらの人たちが使う専門の道具らしい。
他に、煙玉や発光石、ツルハシなんてものもあった。火山エリアなどでは貴重な鉱石が採れる場所もあるのだとか。
火山エリアなどの特殊なエリアで役立つものがないか聞いてみると、耐熱のマントとか虫除け香だとかを紹介された。
虫除けはまんま蚊取り線香なのだが、森林エリアではこれがないと、虫に刺されて、いつの間にか毒状態になってたりするそうだ。とりあえず、虫除け香だけ買っておく。
夜になって、クレアに聞いてみた。
「クレア、夜の見張りに関してだが、5時間ずつは辛くないか?」
「5時間も寝れれば十分だと思うが。。。」
「そんなもんか?マリアがいればもっと寝れてたと思ってな」
「確かに。今度来るときは旅の途中だろう。ならマリアも一緒のはずだ」
「それもそうか」
翌日からは再度ダンジョンアタックだ。
今回の旅では、これを最後と予定している。年内に一度ロービスに帰ろうと思っているからだ。
5階の階段までは問題なく進んだ。6階への階段を降りると、やはり洞窟型だった。
片っ端から脇道を進んで、5日で10層まで来た。ここにいはボスがいるらしい。
ボス部屋の前には1組のパーティがくつろいでいた。
「何やってるんだ?ボス部屋には入らないのか?」
「何いってんだ、時間待ちだ。前のパーティが入ってからまだそんなに時間がたってねぇ。全滅するか、倒すまでは扉は開かねえ」
なるほど、ボス戦に乱入できない仕組みか。
よく考えられている。しかし、誰がこんな仕組みを考えたんだろうか?
新月になると新しくなるマップといい、徐々に強くなっていく魔物といい、何か目的があるのかと勘ぐってしまう。
これで途中セーブ機能でもあればいいんだが。
最大で30日しか潜れないなら、最大攻略が32層というのも頷ける。
しかし、新月でマップ更新と考えると32層でもすごいな。もしかして、新月で一度帰らないのだろうか?
ふむ、どうせ新エリアを攻略していくと考えると、新月を迎えても問題ないのか?いや、帰りの道もマップが変わるので、探索して帰らないといけないことを考えると厳しいな。
いや、人数動員して、人海戦術でマップを作成すれば可能か。そうなるとパーティ単位じゃなく、クラン単位での攻略だな。攻略クランが存在するのか。
おっと、どうやら前の前の組の戦闘が終わったらしい。扉が開いた。前の組が入っていく。すぐに扉が閉じる。
前の組はすぐに終わったらしい。30分ほどで扉が開いた。
俺たちが部屋に入ると扉が閉じ、中にはゴブリンとゴブリンジェネラルと思しき魔物がいた。現れたのではなく、最初からいた。<鑑定>。やはりゴブリンジェネラルだ。ボスなんだからゴブリンキングでもいいと思う。
ゴブリンは20匹ほど。
しかし、問題がある。前の冒険者たちは全滅したらしく、死体と装備が散乱している。ゴブリンジェネラルに倒されるとは。10層を攻略するのに、今までゴブリンばかりで、油断したのだろう。ご冥福を祈ります。
さて、ゴブリンだが、ゴブリンアーチャーとゴブリンマジシャンが混じっている。
ゴブリンアーチャーの矢は叩き落としたが、マジシャンはまずい。俺は投擲用のナイフをマジシャンに投擲する。結構力を込めたので、マジシャンの顔に突き刺さった。倒れたので、死んだんじゃないかと思う。
ゴブリンアーチャーが再度矢を撃って来たが、簡単に叩き落とす。そのタイミングでゴブリンが一斉に襲いかかって来た。
俺たちは左右に分かれて、端から殲滅していく。アーチャーは接近戦に弱い。簡単に倒せた。
残るはゴブリンジェネラルだ。
「クレア、ゴブリンジェネラルだが、一人でやってみるか?」
「おまかせを」
クレアは最近実力をつけて来ているので、実力の確認も含めて任せてみる。
ジェネラルは流石に一撃とはいかないようで、足を狙っている。ジェネラルは防戦一方だ。そのうち、防御しきれなくなって、膝を引き裂かれる。
そうなれば、攻撃し放題だ。すぐにジェネラルの首が飛んだ。
全部のゴブリンの魔石を回収したと、前の冒険者の装備をどうするか検討する。
「クレア、この場合、冒険者の装備は俺たちのものだよな?」
「もちろんだ」
しかし、大した装備でもないので、あまり期待できない。
「クレア、使えそうなものだけ拾って、あとは捨てていくぞ」
「了解だ」
ボスを倒すと、奥の壁が崩れて階段が現れた。
「とりあえず、下の階で休憩するか」
俺たちがいたら、次の冒険者が入ってこれないので、ここで野営してもいいんだが、マナー違反だろう。それに長時間いると、再度召喚される可能性もある。
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