128 ダンジョン (2)
「クレア、5時間ずつ交代で寝るぞ。この辺はゴブリンくらいしか出ないから、一人でも大丈夫だろう」
「わかった。じゃあ、ご主人様が先に寝てくれ」
「了解だ。5時間後に起こしてくれ」
俺たちは5時間毎に交代で寝た。俺の起きてる時に3匹ほどゴブリンが出たが、一人で瞬殺した。別にクレア起こすほどのことじゃないしね。
今日は残り半分の調査だ。
昨日行かなかった脇道を順番に潰していく。結局最初の脇道が正解だったようだ。ほとんどの場所を探索してしまった。マップ屋に売れるんじゃないだろうか?
3層への階段を降りていくと、やはり同じ洞窟型だ。
たまに違う雰囲気の階層が存在するらしい。森林型や墓地型、火山型などが確認されている。
だいたい10層ごとに変わるらしい。
という事は、10層までは洞窟型だという事だ。
3層目も2層目と同じく、メインの通りを一通り歩いてから、順番に脇道を潰していく。出てくるのはゴブリンだけだ。これって、10層までゴブリンだけなのかな?
3層目は中間あたりで、当たりを引いた。階段前で交代で睡眠をとる。
翌日は4層目だ。
最初の別れ道があった。脇道ではなく、本道が二つに分かれている。
俺は迷わず右へ曲がった。
「ご主人様、迷わず右に曲がりましたが、何か理由があるのか?」
「どちらも確率が同じなら右から曲がることにしている。別に根拠はない。悩むより先に決めておいたほうが話が早いというだけだ」
俺は普段から右か左かで悩んだら、右を選んでいる。特に意味はないが、昔、人間は何の道しるべもない状況では少しずつ右に向かうものだという話を聞いてから、なら最初から右を選べばいいじゃないかと思っただけだ。
右側はハズレだったらしい。最初の階段の場所まで戻ってくると、交代で睡眠をとった。
翌日左側を探索していくと、最後の脇道で正解を引いた。ほとんど全部回ったことになる。
「クレア、俺たちは今回、10日を予定して探索している。今日で5日目が終了だ。帰るならそろそろ帰る必要があるだろう。どう思う?」
「帰りはマップがあるから、迷わずに帰れる。もう1日探索してもいいと思う」
「それもそうか。なら、明日の夜まで探索を続けよう」
翌日は5層目だ。階段を降りた場所は前に道があるのではなく、左右に道があった。道の途中に階段があるような感じだ。俺は右に進む。今までは直線と直角の曲がり角しかなかったが、ゆるく左に湾曲しているように感じる。
こういう道はマッピングしづらい。どの程度曲がっているかがわからないからだ。ただ、脇道がなく、一本道だ。5キロほど歩いただろうか。道の右側に『登り』の階段があった。
「クレア、これは一周したと思っていいと思うか?」
「それ以外に考えられない。だが、脇道はなかったはず。5層でダンジョンが終わるとは聞いたことがない」
「なら隠し通路とかか。もう一周するぞ。今度はそれぞれ左右の壁を鞘で叩きがら進もう。音や感触の違う場所があればそこを調べよう」
壁を叩きながら進んでいくと、左側、円の中心がわの土が崩れていた。誰かが壊したらしい。
「先客がいるようだな。だけど手間が省けた。進んでみよう」
脇道もなく、まっすぐに進んでいくと、前方で戦闘音がした。そっと近ずいてみると、4人パーティがゴブリン5体と戦っていた。特に問題なさそうなので、戦闘が終了するまで待っていた。むやみに戦闘に加わると、分け前で揉めるのだ。また、盗賊かと疑われる場合もある。
ダンジョン内は警備もいない無法地帯だ。戦闘を手伝ったふりをして、後ろからブスっというのもあるらしい。
ダンジョン内では別パーティは信用しないというのが不問律だ。
この部屋には下への階段があった。
先のパーティも俺たちに気づいて、声をかけてきた。
「何覗いてやがんだ?盗賊じゃねぇだろうな?」
「いや、単に、隠し扉が壊れてたから、入ってきただけだ。一度スルーしたから入れ違いになったんだろう」
「そうか。俺たちゃ、先に行かせてもらうぜ」
「ああ、どうぞ。俺たちは今回はここまでだからな」
「ん?もう撤退するのか?まだ元気そうだが?」
「ああ、初めてのダンジョンだから、無理するつもりはない。もともとそれほどの日数は予定してないからな」
「そうか、まぁ来た道戻るだけだから簡単だろう。じゃあな」
先のパーティは6層に降りていった。
「さて、クレア、今回のダンジョンはここまでだ。
ここで一晩明かして、明日中にはダンジョンを出るぞ」
「了解」
戻りは簡単だった。正解のマップがあり、ゴブリンしかいないのだ。時間をかける方が難しい。
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