115 ワイバーン
今日はメアリーが遊びにきていた。
裏庭でお茶をしている様だが、夏休みの過ごし方について話し合っているらしい。
去年はリリアはオーユゴック領に帰っていたが、今年はメアリーもいるので、どうするか検討している様だ。
「どうかしたのか?」
俺は話の内容がわかっていて、わざと聞いてみた。
「ええ、今度の夏休みをどうするか考えていましたわ。
メアリーと一緒にオーユゴック領に行くのも楽しそうですが、王家の別荘もあるらしくてそちらも魅力的だなと」
「そうか。魔の森での冒険も良いかと思っていたんだが。。。」
「そ、そうですわ、王家の別荘にしましょう。来年からは使うことはできなくなりますし。ねえ、リリア、そうしましょう」
「そ、そいうですわね。ええ、魔の森よりも王家の別荘の方が良いですね。そうしましょう。」
二人とも魔の森での冒険は嫌らしい。
魔の森でも浅い区域だけならいい経験になると思うんだが。まあ、二人が嫌ならいいか。クレアとマリア誘って3人で行こう。
最近二人はほとんど模擬戦だけだったからな。そろそろ実戦で実力を確認してもいい頃だろう。
「じゃあ、俺はクレアとマリア誘って魔の森に行くからな。お前たちは別荘でゆっくりしてくるといい」
「え、ジン様も別荘に行かれるのでは?」
「ん?行かんぞ?俺もスキル鍛えないと錆びついてしまうからな。Sランクの依頼なんてほとんどないし。
久しぶりにロービスの家にも帰りたいしな。ほとんど住んでなかったからな。掃除してやらんと」
「それでしたら、定期的に使用人に掃除させてますわ。
万全とはいかないかも知れませんが、埃まみれということはないはずですわ」
「そうか、それは助かるな」
「それよりも、少しお待ちいただけませんこと?」
メアリーとリリアが小さな声で相談し出した。
「リリア、ジン様が別荘に来ないと言っているがどうしましょうか?」
「メアリー、私はともかく、あなたがジン様と長期間離れてるのはまずいのでは?陛下からも言われているのでしょう?」
「ええ、出来るだけジン様と共にいて、できれば寵愛を得る様にと」
「ならば、二人だけで別荘はまずいのでは?」
「確かにそうですが、魔の森での冒険は。。。奥地に行けばドラゴンがいるとまで言われてるんでしょう?いくらジン様と一緒とはいえ、危険すぎるかと」
「では、どこか別の場所をこちらから提案してはどうでしょうか?南のべスク王国や北のアズール帝国など。来年からは旅に出ると言っているのですから、旅はお嫌いではないはず。
今の時期べスク王国は危険ですから、北のアズール帝国など。幸い冬は過ぎていますので、それほど寒くないと思いますし。
そうですわ!北の山の向こうに温泉の湧く街があったはずです。
ジン様はお風呂がお好きですから温泉には興味がわくと思いますわ」
「そうですね、それなら私たちの休暇にもなりますし。それで行きましょう」
二人の内緒話は終わった様だ。
「ジン様、魔の森よりも、北の山に向かいませんか?山を越えたところに温泉の湧く街があるそうです。温泉は体にいいと聞きますし、いかがでしょうか?」
よほど魔の森が嫌らしい。
だが、温泉か。ちょっと、いや、結構入ってみたい。
この世界に来て、風呂はあるが追い炊きができないので、長風呂ができないのだ。
ふむ、検討してみてもいいな。
「温泉の街の資料はあるか?」
「流石に噂程度ですわ。でも温泉があるのは間違いないはずです」
「なら一度行ってみるか。夏休みの間で往復できるのか?」
「山あいを抜けるルートを通りますので、直接山を越えるより時間はかかりますが、それでも馬車で片道2週間程度ですわ」
「なら温泉街で一月過ごすか」
「お前たち、宿題は先に終わらせておけよ?」
「う、も、もちろんですわ」
宿題やらないと、卒業できないからね。
卒業させるために、旅を遅らせてるんだ。ちゃんと卒業してもらわないと。
それにしても温泉か。
前に入ったのはいつだろうか。記憶がないのではっきりしないが、、、入ったことあるよな?
北の山か。ワイバーンって結局どうなったんだろう?残りが巣を作る可能性があるという話だったと思うが。
明日ギルド行って確認してくるか。巣を作っている様なら先に行って討伐しておかないとね。
翌日ギルドに寄ってワイバーンの件を確認すると、やはり巣を作っている様だ。
噂のSランク冒険者は、そのうちの一匹を倒しらしい。どうせなら全滅させろよ。
俺は北の山に向かい、ワイバーンを狩る。
数は10匹ほどだった。折角だし、ワイバーンの素材で何か作ろうかな?
革細工って、別スキルかな?
新しいものにチャレンジするのもいいかもしれない。夏休みまで時間あるしね。
俺の脚力で走れば、ワイバーンを討伐しても日帰りが可能だ。
俺は夕方に討伐報告を行い、素材を引き取る旨を伝えた。
素材は後日引き渡しらしい。
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