116 閑話 <革細工>
今日は革細工を行おうと思う。
ワイバーンの素材を使って何か作ろうと思う。
以前、ドラゴンの皮でローブを作ったが、<革細工>は取得できなかった。
今回も取得できない様だと、スキル自体がないのかもしれない。
まずは小物から作ろうか。
皮でできた小物って何があるだろうか?
やっぱり財布かな。
うーん、こっちの世界は硬貨しかないから、日本の財布と違うんだよね。ただの袋に紐をつけただけのものだ。
これじゃ作ってもスキルは取得できないだろう。
なら、靴とかどうかな。専門家でないと作れないと聞いたことがあるけど、皮は余ってるし、やってみるか。
鍛治の部屋を片付けて場所を空ける。
なんか、足を覆う袋の様なものができた。
やはり、自分のセンスで作ってはいけない様だ。
そういえば、ローブを作った時も既製品をバラして、作り方を勉強したんだった。
靴ってバラせるのかな。
いや、それよりも、革細工の職人が作っているものを買ってきて何が作れるかから調べ直そう。
自分の知識だけじゃ限界がある。ありすぎる。
俺は職人街の皮職人の店に来た。
店には革細工の商品が並べられ、奥の方には細工台が置かれ、店番と同時にできる様になっている。
鍛治なんかとくれべて、場所が小さくてもできるから可能な方法だね。
キーホルダーやカバン、コースターなどが簡単そうだ。
コースターなんて、丸く切れば終わりじゃね?
だけど、陳列品を見ていくと、なんとナイフが売られていた。そういえば、ナイフのホルダーは革製品だ。
今まで<アイテムボックス>から取り出してたから、俺のナイフには鞘がない。
ちょうどいい、ナイフの鞘を作ろう。
俺はナイフと一緒に鞘を買った。一応形の違うのを3種類ほど買っておいた。
俺は鍛治の部屋で、買ってきた鞘を分解していた。
簡単な形に見えてもいくつものパーツに分かれていた。
さらに、皮を縫っている糸の頑丈さにも驚いた。ナイフでなかなか切れないのだ。
ちなみに<鍛治>でハサミを作ろうとしたことがあるが、しっかりと噛み合う形に作れず、お蔵入りしている。
以前ローブを作った時は普通の糸を使っていた。
今回は革細工店で糸も買ってきている。
針は売ってなかったので、これから<鍛治>で作る予定だ。
まずは針だ。
<鍛治>で細い針を作り、片方を鋭くし、もう片方に穴を開けて、糸を通せる様にする。素材は鋼鉄だ。鉄に炭を混ぜたものだ。割合は適当なので、最適じゃないかもしれないが、鉄より硬いのは確認してある。
バラした鞘の部品に合わせてワイバーンの皮を切る。使うのはミスリルのナイフだ。普通のナイフじゃ刃が通らない。
そして、縫い合わせようとしたんだが、針が通らない。そりゃそうだ、皮を切るのにも通常のナイフじゃダメだからミスリルのナイフを使ったんだから。
ミスリルの針を作ってみた。結果的に針は通らなかった。針が細すぎて、先に潰れてしまうのだ。
俺は発想を変えた。純粋に道具の強度でやるからダメなんだ。
ミスリルの針を作り直して、<魔闘術>を使って、強化して挿してみた。すんなりと刺さったので、サクサクと縫っていく。
鞘が完成した。。。と思ったんだが、元と同じものができただけだ。
俺のミスリルナイフとは形状が違う。
当然収納できない。
他の種類もバラして、どこをどうしたらどうなるかを確認する。
そして、ミスリルナイフに合わせて改めて、皮を加工して鞘を作る。
今回はうまくいった。ナイフもしっかりと収まる。
それに金具をつけて、ベルトに取り付けれる様にする。
これで鞘の完成だ。
<ステータス>を確認すると、<革細工>が付いていた。いつも思うんだが、作業が終了する前についてくれれば楽になるのに、作業が完了してからでないと、スキルがつかない。
何か条件があるのだろうか?
なんにせよ<革細工>がついたのは多きい。これもlvを上げなければいけないのはしんどいが。
問題がまだ残っている。全員に配った竜の皮を使ったローブだ。
普通の糸を使っているので、いつほつれてもおかしくない。
全員からローブを回収して、バラし直した。
そして、<革細工>用の糸で作り直した。
そういえば、ドラゴンの皮を縫うとき事前に針穴を開けてから縫ったな。
ドラゴンの鱗は硬くて加工が難しいが、皮は比較的柔らかいらしい。そのためか、柔軟で伸び縮みするらしい。
とにかく、作り直したローブを全員に配り終わったことで、<革細工>は終了だ。
勿体無いので、バラした鞘も元に戻しておいた。なぜかそれだけで<革細工>がlv2に上がっていた。
習得に苦労しただけに、上がり方に文句が言いたくなるな。
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