112 入学式
リリアの新学期が始まった。
休みの間は俺といろんな依頼を受けた。もちろんメアリーも一緒だ。
当然クレアとマリアも付いてくる。
Cランクの依頼となると、それなりの稼ぎになるので、二人ともおこづかい制から報酬の分配制に変更した。
学院が始まると、週末しか依頼を受けれなくなる。
なので、俺がCランクの依頼を見繕って受注している。
もちろん、1日で終わる仕事なので、それほど種類は多くない。
むしろ、リリアの学業の方が心配だ。上級生になると、授業の難易度が急激に上がるらしい。ここで脱落するものもいるらしい。せっかく進学したんだから、頑張れと思うが、人によっては付いていけなるなるらしい。赤点はマイナス査定が確定する。
騎士を目指すにしろ、魔法使いを目指すにしろ、卒業しないと話にならない。
授業で難しいのは座学だ。
魔物の名前や特徴を覚えたり、魔法職であれば、魔法の種類や呪文、魔法陣の記憶なども必要だ。
つまり、記憶力が試される。脳筋の騎士志願者は呪文を覚える必要はないんだけど、<身体強化>くらい使えないとね。
戦闘力が必須の騎士でもバカはいらないだろうしね。
実技では、より実践的になり、模擬戦が主体となるそうだ。ここでは魔法職と騎士職で別れて行われる。
ここでは、脳筋も活躍でき、プラス査定が期待されている。
リリアは特に特別なことをするわけではないが、メアリーは別だ。王族という事と、首席という事で入学式に挨拶をしなければならない。
「、、、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、
、、、という事で、皆さんの学院での生活がより良きものになることを願います」
パチパチパチパチ
メアリーも無難に挨拶をこなした。
え?なんで俺がこんなところにいるって?リリアの家族枠で出席している。
どうせドゴール様は来られないんだ。俺が代わりに出てもいいだろう。
さて、入学式も見学したし、自分の訓練に戻ろうか。
最近ご無沙汰だった、剣術を練習しようかと思っている。レベルが上がりにくくなって来たので、なにか新しい発想か何かでレベルをあげれるようにしないと。もう素振りでは経験値なんて入らないだろうし。
lv10を超えてから上がりが途端に悪くなったんだよね。
そんなことを考えながら、屋敷の裏庭に出ると、クレアが剣を振っていた。
「クレア、精がでるな」
「あ、ご主人様、実は<身体強化>が出来ないかと、練習しているのですが、いまいち感覚が掴めなくて」
「うん?今まで使っていなかったのか?」
「はい。<魔力操作>も持っていませんし」
「これまでの敵くらいなら、素でもなんとかなってたけど、レベルが上がるにつれて、攻撃力が不安になって来て」
「そうか。<身体強化>は<無魔法>の魔法の一つだ。<無魔法>の魔力を<魔力操作>で身にまとうことで発動するんだ。だから先に<魔力操作>をやった方がいいな」
「そうなのか。私は魔法はからっきしだからな。ご主人様お時間があれば、教えてもらえないか?」
「いいぞ、まず、魔力は感じられるか?」
「それくらいなら」
「なら、それを身体中に循環させてみろ。血管を通して、血と一緒にめぐらせる感じだ」
「むぅ、どろっとした感じで、動かない」
「それを練習して、体を巡らせれるようになれば、血管から筋肉まで範囲を広げてみろ。それが<身体強化>だ。最初は寝転がったりして、体から力を抜いた状態ですると良いぞ」
「なるほど。やってみる」
クレアも<身体強化>を覚えれば、一気に戦闘力が跳ね上がる。前衛として一皮も二皮も剥けるだろう。
俺は集中しているクレアから離れた場所で剣を振り出す。
とりあえずは型の復習からだ。
そのあと、<魔闘術>を纏った状態で型をなぞる。
新しい訓練方法なんてそう簡単に思いつかない。
仕方ない、一通りやった後は、<格闘術>だ。
今練習しているのは、拳で<魔闘術>を使うことだ。<魔闘術>は魔力を剣などの武器に纏わせて切れ味をあげたりする技術のことだが、俺は武器だけじゃなく、拳にも纏えるのじゃ無いかと思っている。
ただ、拳に纏うと手にもダメージがあるのだ。
魔力の制御が十分で無いのだろう。武器と違い、拳は瞬間瞬間で形が変わる。なので、常に<魔力操作>で合わせてやらないといけない。少しでもずれると、手にもダメージがきてしまう。
俺は<格闘術>の型に沿って動きながら<魔闘術>を発動し続ける。手にダメージは入るが、HP的には、今の俺からしたら誤差だ。ヒリヒリするのはどうしようもない。
止まった状態でも纏ってみる。ダメージはない。手を閉じたり開いたりしてみる。ヒリヒリした感じがある。ダメージが入っているようだ。やはり拳の形が変わるのに<魔力操作>が追いついてないのだろう。
拳を固めた状態で、指も動かさずに動かしてみたらどうだろうか。ダメージはない。
できれば、手を開いた状態でも使えると、相手の武器をいなしたり出来て便利なんだが。今まではダメージを受けながら使用していた。
だけど、これから先、魔剣などを使ってくる相手がいると、不十分な<魔闘術>では対処できない可能性がある。先日の武闘大会で他のSランク冒険者の攻撃を観察したが、全員が<魔闘術>を使っていた。つまり、そのレベルになると、<魔闘術>ありきの戦いになる。
別に素手で攻撃を受ける必要はなく、剣で受ければいい話なので、こんな練習をしているのは俺くらいだろうが、左手で相手の攻撃を捌けるのは戦術の幅が広がるのだ。
これからも要練習だな。
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