066 閑話 お土産 (2)


翌日、俺はまた、昨日と同じ店に来ていた。


「いらっしゃいませ〜

あら、昨日のお客様ですね。

何か不備がありましたでしょうか?」


「いえ、昨日のは問題ないです。

今日は他の人の分を買いに来ました」


「左様でございますか。

どのようなものに致しましょうか?」


「そうですね、予算は金貨1枚くらいで、15歳くらいのメイドの子と、21歳の大剣を使う冒険者です」


「メイドさんですと、服が固定されてしまいますので、普通のアクセサリーでは難しいですね。

無難なところでは、髪留めやリボンでしょうか。

大剣使いの冒険者様は、職業上、あまりぶらぶらするものはよろしくありませんので、こちらも限定されますね。

ベルトなどが良いかもしれません」


「ひとまず、お一人ずつ考えましょうか?

メイドさんは髪の色はどんな感じでしょうか?」


「赤茶ですね。身長は150センチくらいです。髪は肩くらいの長さで切りそろえています」


「それですと、髪をまとめるものよりも、飾るものの方が良いですね。

ある程度長くないと、まとめるタイプのは使えませんので」


ふむ、髪飾りか。

ヘアピンとかあるかな?


「前髪を止める、ヘアピンとかありますか?」


「もちろんございます。

木製のものや、金銀、宝石の付いたものまでございます。

しかし、メイドという職業上、あまり目立つものはお勧めできません。

なので、木製か銀細工がよろしいかと思います」


あるみたいだな。

なら問題はどんなのが良いかだな。

俺、好みとか知らないんだよなぁ。


「木製だと、重たくないですか?」


「確かに銀細工と比べますと重くなりがちですが、透し彫りなどの技法を使いまして、軽く作られたものもございます」


「実際の重量じゃなく、見た目で重く見えるような気がしたんですが。。。」


「そうですね、実際木製だと、大きくなる傾向にあります。

銀細工をメインにご覧になられますか?」


「ええ、それでお願いします」


「銀細工ですと、ハート形、星型、葉っぱ型、花形などがございます」


うーん、昨日のセットと同じような柄か。

あ、そうだ、メイド服なんだから、あれがあるじゃないか。


「えーっと、カチューシャとかありませんか?」


「もちろんございますが、通常メイド服とセットで買われるため、贈り物としてはあまりありませんね。

赤茶色の髪にあうものだと、今扱っているものは、これくらいでしょうか」


銅製の花柄の入ったものと、赤色の布のバンドのようなものを出してきた。


「あとは、あっと、エプロンの色は何色でしょうか?」


「えっと、黒のワンピースに白のエプロンドレスです」


「では、こちらの白のもお勧めです」


白色で、リボンのような飾りがついている。


「やっぱり、髪の色に合わせた方がいいんですかね」


「もちろんです。ただ、全体のバランスというのもございますので、エプロンに合わせて白というのもよくある組み合わせです」


ふむ、服に合わせるか。

メイドをしてる時はメイド服だけど、冒険してる時は、冒険者の服だしな。


「うーん、じゃぁ、白いので」


「かしこまりました。

それでは、もうひとかたの方を。

大剣使いの冒険者の方でしたね」


「はい。ベルトがお勧めでしたか?」


「そうですね。冒険者の方は基本的にアクセサリーはつけられませんので、実用品の方が良いかと思います。

その中でもオシャレに気を使うのであれば、皮で編んだベルトなどが良いかと思います」


なるほど、実用品か。

だけど、髪は背中まであるから、髪留めも候補に入るのかな?


「髪は背中まであるんですが、髪留めって実用品ですかね?

冒険の邪魔になったりしませんか?」


「髪が長い方なら、むしろ必需品かもしれません。

髪の色は何色でしょうか?」


「薄い青ですね」


「それでしたら、濃いめの青が良いかもしれません。

これなどいかがでしょうか?

種類としてはリボンになりますが、濃い青に、白で刺繍がしてあります。

表に出る部分だけに刺繍がしてありますので、括りやすいと思います」


なるほど、リボンも有りと。

うーん、クレアにリボンは似合わなそうだなぁ。

護衛するのにつけていてもおかしく無いもの。。。

ポシェットとかどうだろう。


「革のベルトに革の小さな小物入れなんか付いたのありませんか?

それなら邪魔にならないですし、ただのベルトよりいいかと思ったんですが」


「ございますが、革の小物入れとなりますと、ゴワゴワしますし、小銭を入れるにもこぼれやすく、あまり人気はありません。

それくらいなら、別途、財布などを買われた方が良いかと思います」


「なるほど。では、先ほどの革ベルトをお願いします」


「ありがとうございます。

2つで大銀貨2枚と銀貨3枚になります」


即金で払って、包んでもらう。

23万円。リリア様の十分の一なら、差別化してるし大丈夫だろう。

いや、奴隷に高いって?今更だよ。


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