065 閑話 お土産 (1)


翌日、俺はリリア様へのお土産を探して、商人街を歩いていた。

先ほど、乗合馬車の予定を聞いたら、3日後だったので、予約しておいた。


リリア様へのお土産として何がいいか。

普通に女性にものを贈るには、アクセサリーか日用品だと思う。


今回の場合、どちらが良いだろうか。

アクセサリーなら、ネックレスとかだろうし、日用品ならブラシとかかな。


とりあえず、大きな商会なら、色々揃えてあるだろうと思い、屋台のおじちゃんから聞いた、評判の良い店に向かった。


「いらっしゃいませ〜

どう言ったものをご入用でしょうか?」


どの店も同じような言葉で迎えられるが、定型句なんだろうか?


「知り合いの女性に贈るお土産を探してるんですが、何かいいものないですか?」


「どう言ったお知り合いでしょうか?

恋人でしたら、指輪などがよろしいかと思いますが」


「いえ、恋人ではありません。

なんというか、雇い主、というか、友達というか、、、

どういう関係なんでしょうね?」


自分で言っていて何を言ってるんだと思うが、どういう関係かと聞かれても困る。

恋人でないことは確実だろうけど。


「それでは、どう言った方でしょうか?

髪の色や目の色、好きな色などに合わせて選ぶのも一つの選び方です。

教えていただければ、これは、という物をご紹介いたしますが」


「ええと、銀髪碧眼です。

それから好きな色は、薄い黄色でしょうか」


「そうですね。

それでしたら、髪の色に合わせて、ルビーのネックレスなどはいかがでしょうか。


あ、お聞きし忘れていました。

ご予算の方はどのくらいでしょうか?」


「そうですね、金貨5枚くらいでお願いします」


「承知しました。

それでは、先ほど申し上げた、ルビーのネックレスの他には、お好きな黄色に合わせて、トルマリンのネックレスやピアスがございます。

目の色が茶色ということで、どの色でも合いますが、あえて色違いで、青色のサファイアを使ったネックレスなどもおすすめです。


お時間さえいただければ、他にも色々とお作りできますが。。。」


「いえ、3日後には王都に向かいますので、今あるものでお願いします」


「そうですね、それですと、後は、どの色にでも合う、ダイヤでしょうか。

金貨5枚ではあまり大きなものは無理でございますが、こちらのブローチなどは人気がございます」


どれも良いものなんだけど、どれが一番良いかって、難しいよね。

リリア様はどんなのが良いだろうか。


普段家でもドレスを着ているけど、あまりアクセサリーを着けているのを見た覚えがない。

持ってないということはないと思うんだけど。


「普段ドレスを着ていて、あまりアクセサリーを着けてないんですが、そういう方にはアクセサリーを贈らない方が良いんでしょうか?」


「いえ、そういう方にこそ、贈られるべきです。

普段ドレスを着ていらっしゃるということは、おしゃれにも気を使われていると想像できますので、着けてないということは、普段使い用のアクセサリーを持っていらっしゃらないのかもしれません。

高価なアクセサリーは、晩餐会などでは必須と言っても良いくらいですが、普段使いには高価すぎて合いませんので。


だとすると、普段使いできる、それほど華美でないものがよろしいかと思います」


なるほど、そういう考えもあるのか。

普段使いだとすると、ダイヤはないな。

いや、宝石にこだわる必要もないのか。


「あの、普段使い用だと、銀や金細工なども良いかと思うんですが、扱っていますか?」


「もちろんでございます。

こちらは金細工のネックレスとピアスのセットになっておりまして、人気のデザイナーが作成したものになります。


こちらですと、銀細工ですが、立体的な作りになっておりまして、存在感をアピールできます」


ふむ、細工物もありだな。


「耳に穴を開けてませんので、ピアスは付けれないと思うんですが。。。」


「そうでございますね、穴を開けられてないのであれば、引っ掛けるタイプのイヤリングもございます。

ピアスだと、宝石などの重さにも耐えれますが、イヤリングですと細工物が主になりますね。

細工物に小さな宝石を散りばめたような物もございます」


やっぱり、イヤリングだと、宝石はないのか。

なら、やっぱり細工物だな。


「なら、細工物で、ネックレスとイヤリングがセットになっているものを見せてもらえますか?」


「はい。

最近はピアスよりもイヤリングの方が流行っておりまして、それなりに揃えております。

黄色がお好きと聞きましたが、普段の服も黄色が多いのでしょうか?」


「そうですね。薄い黄色か時々真っ赤なのを着ていますね」


「普段使いですので、よく着られている、黄色に合わせた方が良さそうでございますね。

金だと、黄色と被ってしまい、アクセサリーとして存在感が出ませんので、銀細工がよろしいかと思います。

こちらの、ハート型の物、星型の物、葉っぱ型の物などがございます」


うーん、どれも綺麗だし、リリア様に似合うと思う。

でもハート型はなんか、恋人に贈るような気分になるから、除外して、星か葉っぱか。

イヤリングのデザインも考えると、星だな。


「じゃぁ、星型のセットをください」


「ありがとうございます。

セットで、金貨2枚と大銀貨4枚になります」


即金で払い、包んでもらう。

お土産に240万円か、金銭感覚が麻痺してるな。

最近は億単位で稼いでるし。


何にしろ、良いものが買えた。

これで安心して帰れる。

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