036
翌日俺たちはギルドに来ていた。
「キャシーさん、Cランクの討伐依頼を受けようかと思っているのですが、何かいいのはありませんか?」
「ジンさん、おはようございます。
Cランクでしたら、そちらに張り紙がございますので、好きなものを選んでお持ちください。
Dランクのオークでしたら、こちらで直接でもお受けできますが、依頼者のいる依頼に関しては、すべて張り出しており、早い者勝ちになっていますので」
なるほど、確かに右側に大量に張り紙がしてある。
俺もFランクの時はそこから、街中の依頼を探して受注していた。
長い間、オークばかり受けていたので、忘れていた。
依頼ボードを見ると、ランクごとに分かれていた。
Cランクの依頼を見ると、護衛依頼と討伐依頼、採取依頼などが載っていた。
とりあえず、目的の討伐依頼を探すと、西の森のオーガ討伐の依頼があった。
先日リリア様を助けた後にも、オーガが出現したようだ。
オーガ討伐、1体銀貨1枚、魔石は大銅貨3枚、肉は不要。期間、受注より1週間。
オーガの肉はまずいらしい。
魔石は<調合>や<錬金術>に使うので、売らないでおこう。
とりあえず、ノルマは3匹程度か。
「クレア、マリア、オーガ討伐を受けてみようと思うが、行けるか?」
「はい、大丈夫だと思います。
ただ、負けることはないとは思いますが、私の短剣では、傷つけるのがやっとでしょう。
クレアさんとご主人様に倒してもらうことになるかと思います」
「何、気にすることはない。
私が倒せば良いのだ。
ご主人様の出番なんかないぞ」
「じゃぁ、この依頼を受けよう」
俺は受付の順番に並んだ。当然キャシーさんの列だ。
「はい、受注を確認しました。
お気をつけて行ってらっしゃませ」
「マリア、オーガを探しながらだから、野営する可能性も高いが、準備は必要か?」
「いえ、数日程度の食品は持っています。
ただ、保存食ですので、新鮮な野菜などは補充しておきたいです」
「よし、じゃぁ食料を調達したらすぐに出るぞ」
「はい」
俺たちは西の森に向かって、ちょうどリリア様たちを助けたあたりで、北に向かい、森に入った。
途中で野営したが、マリアの作ってくれた夕食は悪くなかった。保存食がベースなので、美味しいわけではなかったが。
<魔力感知>をすると、そこそこ魔物がいるようだ。
しかし、ゴブリンなんかが目的でもないので、中でも魔力の強いところに向かった。
途中でゴブリンを倒しながらも魔物の反応に近づくと、やはりというかオーガがいた。
体長は3メートルくらい。筋肉むきむきで棍棒を持っている。
1体だ。はぐれだろう。
今回は1体なので一人でやらせてもらおう。
俺は槍を構え、一気に近づいた。
喉だと高さがあるので、心臓を狙った。
不意をついただけに、狙った通り当たったが、穂先が半分食い込んだだけで、貫けなかった。
さすがオーガ。
以前倒した時は剣だったので、槍を捨てて、剣に持ち替える。
以前倒した時のように、<水魔法>で顔を覆ってやろうとしてら、オーガの全身に水をぶっかけたようになってしまった。
戦闘中に魔力の調整はまだ難しいようだ。
オーガは怒って、棍棒を振り回してくる。
俺は剣で棍棒を受け流し、隙をついて、手首を切りつける。
何度か切りつけると、棍棒を取り落とした。
その間に、太ももを切り裂き、オーガが膝をついた時に、喉を切り裂いた。
武器屋のおっちゃんが言っていた通り、剣の方が魔力の伝導率が高く、槍よりも強化の度合いが強かったと思う。
この魔力をまとわせて戦うのを<魔闘術>というらしい。
上級の冒険者には必須の技能だそうだ。
なにせ、鉄だろうが、ミスリルだろうが、そのままの硬さでは切れない魔物も多いのだ。
俺は槍の練習をする際、セディックさんを傷つけないように、魔力をまとわせていなかった。
なので、槍に魔力をまとわせるのは、今日が初めてだったりする。
結果的に槍を使った時は魔力はほとんどまとえず、鉄だけの強度で突いてしまった。
俺は二人にオーガの討伐証明部位である角の採取を命じておき、自分は槍の基本の型を確認していた。
もちろん、魔力をまとわせる練習だ。
結果、わかったのは、材質が木だと、魔力の伝導率が悪く、纏いにくいということだ。
魔力を多く込めたら行けるんじゃないかと思って、込めてみると、柄の部分が粉々に粉砕された。
まぁ、そういうこともあるわな。
俺たちはそのまま北上したが、1時間ほど経っても<魔力感知>に引っかからないので、西の奥の方に向かうことにした。
<魔力感知>だが、範囲が狭くなっていたので、確認したら、癖がついたようで、0.01ポイントくらいで発動していた。
なので、範囲が1キロメートルくらいになっていた。
一瞬だけ倍くらい消費して確認すると、3キロメール位のところにオーガらしき魔力を感じた。
「3キロほど先にオーガが2体。途中にオークかゴブリンが5体ほどいる。
今日はオーガを倒したら帰るぞ」
「はい」
途中にいたのはオークだった。
5体程度全く問題にもならず、瞬殺した。
オーガを見つけてからも、すぐに戦闘には入らず、まず落ち着いて<水魔法>を発動する。
前回の戦いでは戦闘中には十分なイメージが固まらず、顔に張り付かせれなかったためだ。
<水魔法>を顔に貼り付けると、やはり苦しいらしく、棍棒を放り出して、顔を引っ掻く。
クレアが飛び出し、オーガの太ももを切り裂いていく。
俺はそのあとに続き、剣で喉を切り裂くだけの簡単なお仕事だ。
生物に<水魔法>は非常に有効だな。
耐性があれば、レジストされるんだろうけど。
俺たちは帰りもオークを倒しながら、野営して、街に戻った。
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