034
2週間ほど経つと、キャシーさんから、ランクアップの話があった。
どうも、貢献度?的なものが溜まって、ランクアップ条件を満たしたようだ。
「それで、Cランクだと試験があるのですが、受験されますか?」
「試験ですか?どう行ったものなんでしょうか?模擬戦ですか?」
「模擬戦もありますが、基本的な教養を問う筆記試験もあります。
文字が読めなかったり、お釣りの計算もできないのでは、困りますので」
「なるほど、なら受験させていただきます。
試験の日程などはどうなりますでしょうか?」
「明日なら可能です。10時ごろ来ていただけますか?
試験官にもそう伝えます」
奴隷にクエストをさせてランクを上げる鬼畜なことをやっていたが、ギルドでも注意されたことはないので、問題ないのだろう。
このままクレアとマリアに稼がせて、悠々自適な生活を送るのも可能だが、それでは俺が楽しくない。
マリアあたりは、喜びそうだが。
翌日、朝の鐘から少しして、ギルドに向かう。
キャシーさんがいて、試験を行うので会議室に来て欲しいという。
今回の試験は俺だけのようで、他に人はいない。
まずは筆記試験らしい。
文字が読めるのを確認するためか、文章が書いてあり、内容を要約しろ、という問題だ。
他には簡単な算数の足し算引き算、周辺国の名前を尋ねるものもあった。
だが、こんなのは本を読んでいれば誰でも答えれる。
時間が来て、試験官が解答を確認して、訓練場に行くように言われた。
訓練場には先ほどの試験官が来た。
「俺が模擬戦の相手をする、Bランク冒険者のセディックだ。
俺に勝つ必要はないが、全力でこい」
俺たちは5メートルほど離れて向かい合った。
セディックさんも剣を構えている。
俺も剣を構え、軽く剣を振って様子を見る。
セディックさんは剣をそらし、横薙ぎを放ってきた。
俺は剣身をなんとか軌道上に持っていき、剣を受け止めた。
2人とも一度離れ、お互いに様子を見合う。
「睨み合ってても実力は分からないぞ。どんどん掛かってこい」
本気でやれば一瞬で倒せるが、決闘でもないのにそれでは意味がない。
俺は上級冒険者の技術を盗むつもりで、いろんな攻撃を加えてみる。
セディックさんはすべての攻撃をかわすか、流して見せた。
一撃も受け止めることがないのはすごいと思う。
しかし、セディックさんの動きを見ているうちに、なんとなく体の動かし方がわかってきた。
徐々に俺もセディックさんの剣を受け流せるようになっていき、だんだんと俺の方の攻撃が増えていく。
セディックさんも防御だけでは保たないと思ったのか、わずかな隙を見つけて刺突を放ってくる。
実は刺突を受けるのは初めてだ。
クレアは当たったら、一撃で死んでしまうからと、放ってくれない。
マリアは突きが基本なのだが、剣が短いので、突きというよりもパンチの様に感じていた。
突きは正確に喉を狙っており、このままでは当たる。運が悪ければ死ぬだろう。
俺は剣を振った勢いを利用して、少しずれると同時に首をひねる。
剣は首の皮一枚切って外れた。
セディックさんが少し離れて、手を挙げた。
「模擬戦は終了だ。
俺が防御一辺倒になるとはな。
最後の刺突はけっこう本気だったんだぞ?
とにかく合格だ。
たった今からお前はCランクだ」
どうやら合格らしい。
有効打を一度も与えてないのに良いのかと思ったら、Bランク相手にそれは図々しいと言われた。
それくらいCランクとBランクには差があるのだそうだ。
ギルドの受付に戻って、キャシーさんに合格の旨を伝えると、おめでとうございます、と言われた。
ギルドカードを更新して、俺は晴れて、Cランク冒険者になった。
カードの更新をしていると、セディックさんが戻ってきた。
「セディックさん、槍は使えますか?」
「もちろん、使えるが、どうした?」
「一度手ほどきをしていただければと思いまして」
「ふむ、さっきの模擬戦といい、筋は良さそうだな。
よし、特別に見てやろう。
晩飯と酒を奢れよ!」
「もちろんです、潰れるまで飲んでください」
「その言葉忘れるなよ」
俺はセディックさんと訓練場に戻る。
訓練場で貸し出している、槍を2本取り、お互いに向かい合う。
俺はクレアに基本を習って、その基本の型を繰り返すという訓練を行ってきた。
なので、相手に合わせてどう動くかなどがさっぱり分からない。
とりあえず、基本の型通りに攻撃してみるが、あっさりと払われた。
胴の真ん中を狙ったはずなのに、なぜか右側に逸れている。
今度はセディックさんが攻撃してきた。
同じく払おうとしたが、逆に弾かれてしまった。
胸の防具の上から突きを受け、仰向けに倒されてしまった。
「お前、基本の型しかやってないな?
それじゃぁ模擬戦してもあまり意味ないぞ?
ちょっとこい、対人戦でよく使う技を教えてやる」
セディックさんは俺がほとんど初心者なのを見抜いて、模擬戦ではなく、動きを教えてくれるそうだ。
「まず、突く時は手首を回して、ねじる様に放て。
それから払う時は、そらすんじゃなくて、弾き飛ばす勢いでやれ。
あと、、、、、」
セディックさんは結構面倒見が良いらしい。
結局夕方まで付き合ってくれた。
「よし、飯にしよう。
お前のおごりだからな!」
もちろん、俺も忘れていない。
飲みながらも俺のあそこが悪いとか、こうした方が良いとか、いろいろ教わった。
そろそろ、実戦で戦っても良いかもしれない。
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