017
「おはようございます」
翌朝、俺は眠い目をこすりながらリリアーナ様に挨拶をする。
「よくねれませんでしたか?」
「えぇ、少し昂ぶってました。盗賊を殺すのは神経使いますね」
「盗賊を殺すのは初めてだったのですか?」
「はい。魔物ばかりを相手にしてましたので」
「そうですか。それなら仕方ないですね。
馬車の中ではゆっくりしてください」
「ありがとうございます」
どうやら、昨夜出かけていたのは伝わってないようだった。
馬車の中ではリリアーナ様が積極的に話しかけてくる。
「ジン様は今までどんな魔物を倒して来られたのですか?」
「ジン様はどうやって強くなったのでしょうか?」
「ジン様は戦闘以外に得意なものはありますの?」
「ジン様はどう言った女性を好まれるのでしょうか?」
。。。。。。。
どう言った意図で聞いてきているのか分からないが、出来るだけわかりやすく説明した。
もちろん、転移者だとか、神様のこととかはぼかしてだ。
クレアやマリアにも魔法が使えることは言ってないので、それも言わなかった。
しかし。。。
「ジン様はどうやってあの様な巨大な魔法を使えるのでしょうか?」
「はい?」
何か俺の魔法のことを知っているかのように聞いてきた。
「毎晩空に向けて、巨大な<風魔法>を放っていたでしょう?
私はこれでも<魔力感知>のスキルを持っているのです。
寝てても起きるほどの魔力、気づかないわけがありません」
俺は指先に集まる程度の魔力しか込めてなかったのだが、『巨大な魔力』に感じられるらしい。
ステータスを確認しながらやっていたら、魔力が1ポイントしか消費されていないのは分かっている。
最小単位だと思っていたのだが、一般的に見ると、巨大な魔力扱いのようだ。
魔力1ポイントの価値が違うようだ。
そんな概念があるのかは知らないが、魔力密度かな?
もしどうだとしたら、ただでさえ他の人の100倍以上の魔力を持っているのに、密度まで違うとなると、全力でやるとどうなってしまうのやら。
「えっと、何のことでしょうか?」
「ふふふ、隠さなくても良いですわ。
あれだけ毎日練習されてたんですもの。間違えることはありませんわ」
「ご主人様は魔法まで使えるのか!」
クレアが驚いている。
マリアは「ウンウン」と頷いている。どうやら前から分かっていたようだ。
「あの、ここだけの話にしてもらえませんか?
魔法が使えるのは事実ですが、コントロールができずに、空に向かって放つしか出来ないので」
「あぁ、それで空に向かって放っていたのですね。
ジン様はどのくらいの魔法まで使えますの?」
「私が使えるのは初級だけです。
他にも使えるのかもしれませんが、特に勉強したわけではありませんので」
「それはもったいないですわ!
屋敷には魔法の載っている本もありますので、読んでみると良いですわ。
ジン様なら、伝説の特級、いえ、禁呪まで使えるかもしれませんね」
「禁呪ですか。どう言ったものなんでしょう?」
「魔法そのものは伝わってはいませんわ。
昔、1万年と言われていますが、そのくらい昔にあった神々の戦争で使われたと言われる魔法です。
おとぎ話に必ず出てくる魔法で、唱えると山が吹き飛んだとか、海が割れたとか言われています」
「それはすごいですね。
しかし、神が使っていた魔法なのでしょう?
人間には使えないと思うのですが」
「それは分かりませんわよ。
魔法として存在しているのですから。
私は十分な魔力と知識、詠唱などがあれば再現できると考えていますわ。
今度入学する学校でも、神話の時代の魔法の研究をしたくて通うことにしたのですわ。
私は<生活魔法>の他には水属性の初級しか使えませんので、純粋に研究が目的ですわね」
「<生活魔法>ですか。
各属性の初級魔法を<生活魔法>と言うのではないですか?」
「違いますわ。
属性魔法は属性に適性がなければ使えませんが、<生活魔法>は魔力が使えれば、すべて使えますわ。
ただ、初級魔法と<生活魔法>に似た魔法が多いのも事実です。
初級魔法の方が威力が高く、魔力も多く使います。まぁ、魔術師からすれば誤差ですが」
どうやら、神様から聞いた話と違っているようだ。
魔法の適性とは高レベルにまで達せれるかの指標だと思っていたのだが、魔法が使えるかどうかの絶対的な基準らしい。
俺はすべての属性の魔法が使えるので気づかなかった。
なるほど、それでこの世界に来た初日に、火をつけたときに<火魔法>を覚えたのか。
<生活魔法>と言うのはスキルに表示されるのだろうか?
<ステータス>
俺はステータスを改めて確認すると、魔法スキルの欄にちゃんと<生活魔法>と載っていた。ついでに久しぶりに他のステータスも確認すると、魔力も含め全体的に10倍くらい上がっていた。
最近魔力の循環が早くなったと思っていたら、こんなところに影響が出ていた。
それと、ひっじょーに大事なことだが、<魔力操作>のlvが11に上がっていた。。。
そう、lv10がMaxじゃ無かったのだ。
lvが10を超えると言うことは、15とか20とかの中途半端な数字で終わるわけがないので、99か100まで確認しないといけなくなる。
lv10からlv11まで、10倍くらいの日数がかかったので、これから先に必要な経験値が同じ割合で必要なのだとしたら、lv100まで何十年かかることやら。
一年ほど経っても上がらなかったら限界だと決めて止めようと思ってたのに。。。
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