010



雨が上がってからは、Fランクの街中の依頼を受けまくった。20日くらい経つと、ランクが上がり、Eランクになった。採算は合わないが、宿も延長して過ごしていた。


Eランクからは護衛の仕事などもあるが、目もくれずに、街中の仕事を受けていた。

実はその間に、ギルドの裏の訓練場で剣の練習をしていたのだ。

魔力を血液のように循環していると、魔法スキルが上がるが、筋肉まで巻き込んで循環させると、身体強化の魔法になるのだ。

これに気づいてからは、常に身体強化した状態で過ごし、剣の練習をしていた。


さらに一月ほどするとDランクに上がった。普通の低レベル冒険者は、もっと安い宿で泊まり、毎日は依頼を受けないらしい。

時間が勿体無いと思う。貧乏性だろうか。

不老なので時間は幾らでもあるが、何かやってないと落ち着かない。やはり貧乏性のようだ。


この一月の間に、各種調味料や果物、野菜、串肉などを買い漁り、<インベントリ>にしまってある。串肉は焼きたてで入れたので熱いままだ。

野宿で保存食ばかりなのがしんどかったので、怪しまれないように、毎日少しづつ買い足していたのだ。

当然鍋や食器も買ってある。


Dランクになったので、オークの討伐依頼が受けられる。


オーク3匹以上。1体大銅貨3枚。上限なし。魔石は銅貨8枚。


受付で依頼を受けようとすると、怪訝な顔をして聞かれた。


「ジンさんはパーティーを組まないんですか?

オーク討伐はDランクで受けれますが、普通はパーティーで受けます。ジンさんは堅実にランクを上げているので、てっきりパーティーを組むのだと思ってました」


「分かってはいますが、色々と知られたくないことも有りますので」


「なら奴隷を買われては?

見たところ、お金には困ってはいない様ですし。

奴隷は持ち主に逆らえませんので、情報が漏れることはありません。

囮に使うには高い買い物ですが、戦闘のできる奴隷を買えば、パーティーを組まなくても安全です」


「奴隷ですか。

それは俺でも買えるのですか?」


「ええ。

お金さえあればだれでも買えます。

ただ戦闘ができる奴隷は高いです。勿論、愛玩奴隷の方が高いですが」


「値段などは。。。?」


「奴隷によって変わりますし、時期でも変わりますので、直接奴隷商に聞いてください」


この世界、奴隷は一般的だ。街中で<鑑定>したので知っている。ただ、戦闘ができる奴隷がいるとは思ってなかった。

確かに、遠出するたびに徹夜するのでは体がもたない。

どんな奴隷がいるのか、見るだけ見てみるか。



表通りから一本入ったところにある、石造りで3階建ての立派な建物だ。

表には「奴隷商」とだけ記されていた。


「いらっしゃいませ。どうぞこちらへ」


中に入ると中年の男性が声をかけてきて、部屋に案内してくれた。


「本日はどういった奴隷をお求めでしょうか?

当商会では、愛玩奴隷から、借金奴隷、戦闘奴隷、犯罪奴隷まで取り揃えております」


「借金奴隷と戦闘奴隷の違いは何ですか?」


「借金奴隷は、そのまま借金が払えなかったり、村の口減らしなどで売られたものたちです。

戦闘奴隷は、戦争で捕虜になり、身代金を払えなかった場合になります。

どちらも保持スキルと、借金/身代金の額に応じた額になります」


相場を聞くと、最低でも大金貨が必要だとのこと。暗に、それくらい払えないなら帰れと言われている。


「借金奴隷と戦闘奴隷を見せてもらえますか?

借金奴隷は家事関係のスキルがあるのを、戦闘奴隷は前衛ができるものを。

どちらも女性で、15〜25歳くらいで」


「なるほどなるほど。処女を選んで来ましょう」


奴隷商は、皆まで言うな、分かってるとばかりにニヤつきながら部屋を出て行った。


そんなつもりで買うんじゃないからね!


しばらく待つと、女性を5人連れてきて、壁際に立たせた。皆、白のローブを着ていて、透けそうな格好だ。


「条件にあう者を連れてきました。

左三名が借金奴隷で、右二人が戦闘奴隷です。

皆処女で、夜の相手も了承しております」


どの子も美人、または可愛い感じだ。

スキルは料理、裁縫、メイド、剣、大剣だ。

メイドってスキルがあるのか!?


顔の好みはメイドと大剣だが、裁縫は胸が大きい。剣は顔に刺青がある。それにしても処女か。。。

いや、ソンナコトデキメナイヨ?


「3番目と5番目はどんな理由で奴隷になったんだ?」


好みで聞いてるんじゃないよ!?


「はい。3番目は、勤めていた貴族が取り潰しにあい、そこでメイドとして働いていた者です。もともとその貴族に借金があったので、そのまま借金奴隷となりました。

5番目は、昨年の東の小国との戦争で捕虜になった奴隷で、傭兵をしていたそうです」


「それぞれの値段は?」


「3番目が大金貨8枚、5番目は大金貨6枚になります」


8000万と、6000万だ。奴隷半端ねえ。


しかし。


「両方買った。ましな格好で連れてきてくれ」


おれは、大金貨14枚を机に置いた。神様貯金だ。後悔はない。まだあるしね。


商人は即決とは思わなかったみたいで、驚いた顔をしたが、奴隷を連れて出て行った。


直ぐに戻って来て、隷属の首輪と、奴隷紋のどっちが良いか聞いて来たので、奴隷紋を指定した。首輪は街でも見かけたが、見た目が良くなかったのだ。


別室で奴隷契約を行い、血を一滴づつ垂らした。二人ともワンピースを着ており、サンダルを履いていた。


メイドは、名前はマリア。15歳。髪は赤茶。身長150センチほどの小柄な少女で、スキルは<メイド>と<短剣術>だ。


大剣は、名前はクレア。21歳。髪は薄い青。身長は180センチ近くあり、スキルは<大剣術>だ。

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