009
翌朝、日の出とともに門を抜け、西に向かう。先日馬車で通った道を進んでいく。途中、動物すら出ずに、森まで歩き、着いたら北に向かう。この頃には陽も傾き始めており、若干焦っていた。
「1日で着くんじゃなかったのか。それとも俺は低ランク冒険者よりも遅いのか?」
自分も登録したばかりの低ランクなのを棚に上げて、ひとりごちる。因みにlvは低ランクどころか、一般人並み。lvの割にはステータスは高めだが、それだけだ。オーガを倒して浮かれてるともいう。
北に向かいながら、森の端に生えている草を<鑑定>しながら歩く。
「お、めっけ」
時々薬草が採れるが、群生地らしいものはない。
日が暮れてきたので、適当な場所で焚き火をし、座って休む。寝るわけには行かないが、保存食を齧ると少し落ち着く。
日は暮れたが、焚き火の明かりで森の木くらいは見える。
魔法を試すためにイメージを固める。まずはかまいたちの様に風の斬撃を放つ。
スパン。
一撃で木が切断され、倒れた。
あれ?傷がつく程度だと思っていたが。。。
あ、もしかして。
<ステータス>
魔法が全部lv5になっている。どおりで威力があるはずだ。
しかしこのペースだと、この世界の限界のlv10まですぐに上がりそうだ。こんなに簡単に上がって良いのかね?
倒れた木に<火魔法>を放ってみる。
倒木の中央辺りが炭になった。延焼を考えて、<水魔法>をイメージしていたんだが。
取り敢えず、威力があるのは分かった。必要MPも思ったほど消費していない。
俺は気づいてなかった。消費MPも威力も普通より優遇されていることに。神様はレベル上げに影響しそうな所はそのままだが、関係しないところでは優遇していたのだった。
翌日日が昇る前から北に歩き始めるが、群生地は見つからない。薬草は採れてはいるが、15株。1日の宿代にもならない。
日が高くなっても見つからないので、諦めて戻ることにした。早く帰らないと、門が閉まってしまう。
街道まで南に進み、東に向かう。行きに一日かかった距離を半日で戻れるわけがない。途中で日が暮れた。
野営して翌日の昼に街に戻ってきた。
眠い。結局2徹してしまった。
薬草が乾燥してはいけないので、まずはギルドに行き、納品する。
「群生地はが見つからなかったんですが」
受付で聞いてみる。
「街道から北に数キロ離れた所から、森に入って10分くらいの所に流れている川のほとりにある筈なんですが」
「森に入る?」
「ええ、森の周辺には水場が無いので、あまり生えてないです」
よく確認しておけばよかった。
肩を落としつつ、大銅貨6枚もらって宿に帰った。
「ジンさんお帰りなさい。昨日帰ってこないから心配したんですよ」
宿屋に入るとキリカちゃんに声をかけられた。
「済まない。門が閉まるまでに戻ってこれなかったんだ」
徹夜したことを伝え、夕方に起こしてもらう事にした。部屋に戻ると、体も拭かずにベッドに飛び込んだ。
攻撃魔法が思ったより随分と威力があったので、討伐依頼を受けてみる事にした。
「ゴブリン討伐をしようと思うのですが、どの辺に出没するのでしょうか?」
今度は詳しく聞こうと意気込んで行く。
「ゴブリンは何処にでも出ますよ。強いて言えば北の森でしょうか。実際は西の森と繋がっているのですが。
ただ、北の森にはオーガも出ますので、見かけたら逃げてくださいね。Cランクがパーティーで倒す相手ですから。
北の森までは、徒歩3時間くらいです」
既にオーガを倒したことがあるとは言えなかった。
ゴブリンの討伐証明部位は右耳。一体大銅貨1枚だ。魔石は心臓のあたりにあり、銅貨5枚で買い取ってくれる。
肉や皮は使い道がないらしく、買取はない。
魔石を抜き取るとアンデッド化する可能性が高くなるので、出来れば死体は焼いてしまってください、との事だ。
討伐証明部位や素材、魔物の特性などは、ギルド2階の図書室にある図鑑に載ってるらしい。
銅貨3枚払って図書室に入り、街の近くに出る魔物の情報を読んでいく。
「もうこんな時間か」
気がつくともう夕方だった。
今日は討伐のつもりだったので、少し肩透かしをくらった気分だ。
だが、有用な情報が多かったので、今後に活かせるだろう。
翌日は雨だったので休みにし、宿屋でのんびりした。この世界で初めてのんびりしたかもしれない。
「このままじゃお金が減るばかりだな。
伯爵にもらったお金も、神様から分捕ったお金も残っているが、出来れば自立したい」
ボンヤリしている時に、こんな事を考えていた。
お金を稼ぎやすいのは、圧倒的に討伐依頼だ。しかし、Fランクでは常設依頼の討伐しか受けれない。なので、まずはランクを上げないといけない。
今更ながら気づいた。
ラノベのテンプレで、薬草採取とゴブリン退治に拘ってしまったようだ。
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