007
朝目が覚めると、小鳥の鳴く声がした。部屋の窓を開けると、ちょうど日が昇ったところで、綺麗な朝焼けが見れた。前の世界では夜更かしが当たり前だったので、こんな早く起きるのは久しぶりだ。昨日する事がないので、早く寝たのが良かったのかもしれない。
因みに寝間着はTシャツの裾を膝まで長くした様なものだった。
朝食まで時間がありそうだったので、ステータスを確認しておく。
<ステータス>
身体lvが4に上がり、魔法は軒並み3に上がっている。やはり、魔力を直接体内を循環させるのは効率がいいらしい。魔力操作は驚きの5だ。魔力を循環し続けるのがいい経験になっている。
剣もlv1になっており、ステータス偽装に追いついた。
戦闘一回で剣スキルが取得できるのはおかしく無い?魔法も含めて上がりやすいんだが。
能力値も上がっている。身体lvが3上がって、能力値は倍近い。
神様からは、経験値10倍とかはダメだってハッキリと言われているので、それもないはず。lvが低いうちは上がりやすいのかもしれない。
実は<神の加護>で上がりやすくなっているのだが、俺の知るところではなかった。
lvが上がった魔法も確認することにする。周りに被害がない様に風魔法で試す。扇風機をイメージしながら魔力を放出すると、ゴウっと台風の様な風が吹く。調度品が在れば確実に落ちていただろう。
慌てて解除すると収まった。
扇風機をイメージして、暴風が吹くとはlv3でも凄いんじゃないだろうか?
ただ、イメージ通りに効果が出ないと困る。今度は<魔力操作>で込める魔力を絞って放出してみる。うん、ちゃんと微風だ。
異世界ものでよくある、ドライヤーを試す。<風魔法>と<火魔法>だ。両方魔力を絞って発動させる。温風だが温い。
<火魔法>の魔力を少し増やす。うん、ちゃんとドライヤーだ。
他の魔法も、イメージ通りの効果を得る魔力量を試していると、結構時間が経っていた様で、メイドさんが食事に呼びにきた。
昨日と同じ食堂に行くと、ドゴール伯爵とリリアーナ様が着席していた。
挨拶をして席に着くと、メイドさんが食事を運んできた。
焼きたてのロールパンにサラダ、コーンスープだ。どれも美味しい。
食べ終わると、リリアーナ様から話しかけられた。
「ジン様は今日から、街で冒険者になると聞いてますが、何か困った事があれば当家を頼ってください。できる限りのことはお手伝いさせていただきます。
それと、冒険者の方に言うことではありませんが、無茶をされないで下さい」
リリアーナ様は心配そうに伝えて来た。やはり冒険者は危険らしい。
「冒険者になっても、当家にお泊まりいただいても良いのですのよ?ねぇ、お父様」
「うむ、遠慮することはない。冒険者にならなくても、うちに滞在しても構わんぞ。娘の命の恩人だ。いくらでも居てくれて構わん」
折角のお誘いだが、メイドが四六時中側にいる生活は遠慮したい。それに、口では泊まっても構わないと言っているが、多分迷惑だろう。
「冒険者としてちゃんと独り立ちしたいので遠慮させてください」
「うむ、良い心意気だ。気に入った。リリアーナ、ジン殿は漢気がある。無理に勧めるのは彼の心意気を邪魔することになる。黙って見送るのが良かろう」
「そうですか。ジン様、困った事があったら直ぐに相談してくださいね。遠慮なんて要りませんのよ」
引き止められるのを振り切り、部屋に戻ると、昨日着ていた服が洗って畳まれていた。一晩で乾燥まで出来たらしい。
中世位の文化だから日中に干すしかないと思っていたが、乾燥機の様な魔法具があるらしい。無論高価なので一般には出回ってないそうだが。
気軽な服になったところで、メイドさんに出て行く旨を伝えると、馬車を用意してくれた。前庭を歩くだけで時間がかかるかららしい。
ついでなので、冒険者ギルドまで送ってもらうことにした。
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