魔王は絶対倒せない?

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第1話 勇者は最強?

目を開けると、昔テレビで観たどこかの教会のような場所にいた。


「おお・・・、遂に、遂に成功したぞ・・・!」

「これでやっと、あいつらを・・・」

「ああ、なんと神々しい・・・」


なにやら周りが騒がしい。

状況が掴めない。俺は昨日の夜いつもの様に自宅のベッドで寝たはずだ。

断じてこんな教会等に足を踏み入れていない。

浴びるほどお酒を飲み、ほとんど記憶はないが間違いない。

しかも回りにいるのはどう見ても日本人じゃない。見るからに人種が違う。

そんなやつらが俺を囲んで泣いてる状況に身に覚えはないぞ。

言葉が聞き取れてるってことは日本語で大丈夫だよな?

「あの〜、ここはどこですか?」

なるべく事を荒立てないように丁寧に恐る恐る聞いてみた。


「これは勇者様、お気づきですか。ご気分いかがでしょうか?」


「勇者様?」


「はい、あなた様は勇者召喚によって召喚されし人類の希望。

どうか私共をお救いください。」


「いやいやいやいやいや、ないないないない。俺が勇者?そんなわけないだろ。

変なこと言わないでくださいよ。」

つい昨日まで飲んだくれてた俺が勇者などという異世界ファンタジーな存在なわけがないのだ。


「いえ、あなたは紛れもなく勇者様です。

ここにある魔法陣は特殊な魔法陣で勇者の資格を持つもの以外は出てくることはできません。40年前に先代の勇者様もここから召喚されています。

そうですね・・・ステータスの称号欄に勇者の称号が書いてあると先代様は仰っていました。

確認するには『ステータスオープン』と唱えてください。」


え?まさかの異世界召喚的なやつ?

ほんとに異世界ファンタジーなの?

この飲んだくれの俺が勇者になって大活躍みたいな展開がこの先待ってるってこと?

現実とは思えないが夢だとしても面白い展開じゃないか。

いっちょ乗っかってやるか。


「なるほど、なるほど。分かった。

『ステータスオープン』」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべそう唱えると、自分のステータスがぼんやりと頭に浮かんできた。


<名前>タイチ

<レベル>1

<ステータス>

HP:19,998

MP:19,998

筋力:19,998

精神力:19,998

敏捷性:19,998

   ・

   ・


なんか中途半端な数字だな。


「どうされました?」


「いや、数値が高いな〜と思って・・・」


「ええ、それが勇者召喚で呼び出された勇者様の力ですから。

全ての能力は最大値の9,999で固定されているそうです。

通常は最大レベル100でも9,999までは到達できません。その半分以下です。

更には人類に使用可能なスキルは全て使用可能です。」


「あはは、そうなんですか・・・。」


9,999?その倍あるんですけどーーー!

てことは普通のやつの4倍以上あるってことか。

無敵すぎる。2回目の召喚とかって言ってたからその辺がちょっと変わってるのか?

とりあえず続き観てみるか。


<スキル>表と裏、全てのスキルを使用可能です。


表と裏ってなんだ?

とりあえず全部使えるってことか。

どのくらいの数のスキルがあるか知らんがチートすぎるぞこれ。

最後に称号か。

・・・・・・は?


「勇者様、ステータスの確認はできましたか?

称号欄に勇者と記載があったはずです。」


「・・・」


「勇者様?」


「あ、ああ。ありましたよ。勇者の称号ですよね。

ちなみに称号が二つ付くこともあるんですか?」


「いえ、称号に関しましては一人につき一つと決まっております。」


「そうなんですね。ちなみに俺が倒さなきゃいけないのって誰なんですか?」


「魔族でございます。あいつらを滅ぼすことが人類の生き残る術なのです。」


「ということは魔王とかも魔族側にはいるんですよね?」


「いえ、魔王は30年前に勇者様と相打ちになりこの世から消えております。

魔王は勇者様同様ステータスが最大値であり、魔族が使える裏のスキル全てを使用可能でした。そのため勇者様でも簡単に倒すことができずに相打ちとなってしまいました・・・。魔王さえいなければ・・・」


「そうなのか・・・。」


「失礼しました。しかし今、こちら側に勇者様が召喚できたことにより一気に人類の勝利へと近づきました!どうか勇者様、我々に勝利を!」

「「おおおおおおおおおーーーー!!!!」」


これは、言えないよな・・・。



<称号>勇者・魔王

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