港に向かう列車に乗って

 僕からしたらそこが果てなのだろう。


 たった2時間で行けるその果てはどこよりも賑やかで、どこよりも僕に会っていた。


 と言っても、金銭的理由で気軽に行けるわけではないので年に1回。


 毎年同じ冬。


 代わり映えのしないようで、どこか違う。


 口から出る白い息が空気に混じり消え行く様を見て「ああ、今年も一年が終わるのだ」と思う。


 消えた白い息の先には港に浮かぶ船。


 波に揺れ何を思うか旅の船。


 背を向け、いつも乗っている果ての列車に乗り込む。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る