黒髪を靡かせるドライヤー

 半分でも良いくらいのコードを束ね、鏡の前に立つ。


 眼前にそびえ立つはいつかの自分。


 濡れた髪が悲壮感をより高め、自分の居場所を探している私を、憐れな空気がまとう。


 そんな自分を吹き飛ばすように、ドライヤーを当てる。


 熱した空気は塊となり、私を吹き飛ばす。


 高揚感が高まり、期待に満ち溢れた私が登場する。


 魔法のドライヤーを片手に、今日もプラスをあげていく。

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