隣を見る異邦人

 フェンスを越えれば僕の人生は変わるだろう。


 何の面白味も感じないこの街。


 何の大切さもありはしないこの街。


 気づいたのはごく最近。


 ごく最近までは僕もつまりはそっち側。


 つまらなさを演じる一人の演者。


 彼女が現れて、僕は気づいて、あの出来事で、僕は気づいて。


 フェンスにしがみつく手に力が入る。


 僕は足を掛けて登り始めた。

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