第3話 審判

 招聘選手ならぬ、招聘審判というものなのでしょうか。

 あのガマ仙人の登場です。

 この方は、ドスのきいた声と共に、旗の振り方の切れがいい。

 旗を振り切ったところで、手首を返すようにしてピタッと止める。


 40年前の(関東の)面突きでは、後拳は甲の側に返しておいて、拳が当たる瞬間にスナップを効かせて敵の顔面に打ち込む、ということになっていました。

 最後の手首のスナップ。これと同じ原理で、仙人は旗を振り切った時に「決め」を作る。

 だから、同じ判定でも重みがある(ように感じる)。白を黒と判定したとしても、人は納得してしまうかもしれません。さすが妖術使い。


 歌舞伎に於ける「決め」とも共通する、或いは日本拳法における「残心」と同じ、日本人(縄文人)の持つ拍子・リズム感に由来する特性でしょうか。


 2019年6月23日

 平栗雅人

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