『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』を考察する2


 私は物語というものは、どれだけ良い方向性の魅力的な変化を、どれだけ物語に仕込むことができるか、という作業でもあるわけだと思う訳です。


 その点で考えると、『俺妹』は私の中ではとてつもなく素晴らしい作品です。


 良い変化についてまとめると長くなってしまうのですが、


 最も大きな変化に、序盤、オタク文化を少しだけ如何わしいモノだと感じていた恭介は、その素晴らしさを語る桐乃やオフ会を見て〝悪くないな〟と考え方が変化します。


『俺妹』は、この考えたかの変化によって恭介が親父と直接対決することを選び、その考え方によって物理的にも勝利を収めています。


 この流れは〝小説の魅力について〟で書いたそのままの流れであり、これは物語のテーマを浮き彫りにし、統一感と盛り上がりの全てを担う最強のオチだと私は思います。


 上記を筆頭に『俺妹』は良い変化を取り入れている作品です。


 それは例えば、陽キャの塊のように思えていた桐乃が実はオタク趣味を隠し持っていたことであったり、兄妹の関係性が序盤と終盤で最悪→最高にまで変わっていたり。


 変化とは物語において面白さのキーパーツです。


 簡潔に書くと、主人公の考え方の変化と言うのは、それだけで物凄く面白い。


 その変化が大きければ大きいだけ物語は面白くなります。


 例えば、序盤で〝お金がこの世で最も大切だ〟と考えている主人公が終盤で〝お金なんてあっても意味がない〟と気づく物語があるとしたらどうでしょう? それだけで物凄く面白そうだと思いませんか?(『お金がない』ってドラマも昔に流行りましたよね)


 物語とは、その考え方の変化によってラストバトルで勝利することができれば、力強いオチを持つ物語だと言えるでしょう。


 私の好きな作品に『まどか☆マギカ』というアニメがありますが、あの作品も実は〝変化〟や〝対極〟がとても多く盛り込まれた作品ですので、興味がある方は考察してみて下さいね。


 むしろ、次は『まどか☆マギカ』を例にとって〝対極〟の話をしてもいいかも知れませんね。


 少し長くなりましたが、ここまでお読みいただいてありがとうございます。


『俺妹』はこれだけの面白さを内包していながら、説明が一切ない素晴らしい作品です。その情報量や問題の提示のタイミングなど、考察すべきところは色々とあるでしょう。


 私にとってはプロットの雛型を劇的に変えるほどの作品でありました。


 まとめに、大切なことでもう一度言います汗


 素晴らしい作品ですので、中古じゃなくて新書を買って〝伏見つかさ先生〟を応援しましょう!!大汗

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