『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』を考察する1


 ここまで着いてきてくださった方のために、具体的な面白さを作り出す要素についてまとめておこうと思います。


 さて、物語をもっとも細分化すると何が残るのかと言えば、それは〝変化〟だと私は思っています。


 単調な物語がツマラナイことを考えるに、やはり変化に富んだ物語が面白いのは何となくわかって頂けると思いますが――それを、もう少し具体的に話しますね。


 私が完成形のプロットだと思っている物語のひとつに『俺の妹がこんなにも可愛いわけがない』というライトノベルがあります。


『俺妹(ここから省略しますね』は、電撃文庫の看板のひとつであるほどにヒットした作品で、その第一巻は、私が思うにライトノベルの教科書として相応しいほどに完成されたプロットにより作られた物語だと思っています。


 私は『俺妹』の素晴らしさに気づいて、それを細分化してプロットにまで直す――という作業を一か月かけてしたことがあります。


 ここから『俺妹』のネタバレをガッツリ含みますが、よろしいでしょうか?


 *今から『俺妹』を読む人なんて中々いないだろうしセーフですかね?汗 初見での素晴らしさを体験したい方は、これ以上読むのをお勧めしません。自分で体験し、その理由を探ることもまた考察力を上げるためには必要ですので、そこは好みでお願いしますね。


『俺妹』の一巻をまとめると、以下の様になります。


   ***


 序盤、主人公である恭介は、妹である桐乃とは不仲でした。


 それは「ウザイ」や「キモイ」などが口癖で、読者モデルまでこなしている陽キャである完璧超人に近い桐乃は、兄としての恭介が知らず知らずのうちに劣等感を持つような存在で――表面的に言えば、挨拶を返してもシカトしてくるような態度だったからです。


 そんな時、恭介はひょんなことから、桐乃の隠していた〝オタク趣味〟に気づいてしまいます。〝人生相談〟だ、という言葉で桐乃に告白されたオタク趣味は、恭介の想像を超えるものでした。桐乃の趣味はアニメなどのライトなものだけでなく、十八禁のゲームソフトにまで及んでいたのです。


「こんな趣味変だよね」と言う桐乃に、「いいんじゃねぇの」と答える恭介。


 物語は進み――桐乃をオフ会に行かせ、オタクの友達などができて楽しそうな桐乃を見て、恭介はもう大丈夫だと思いますが、ここで事件が。


 桐乃は〝18禁のゲーム〟を持っていることを頑固な親父に、バレしまいました。


 親父にそんな趣味はダメだと切り捨てられ「捨てなさい」と言われ、桐乃は家を飛び出してしまいます。


 そんな桐乃を探し出した恭介に、桐乃は伝えます。


「どっちかひとつがなくなったら、私じゃなくなるの。でも、確かに私は子供だし、お父さんの言うことは聞かなくちゃいけないと思う。抵抗も出来ないと思う。でも、好きなのは絶対に辞めない」


 桐乃の言葉に胸を打たれた恭介は、桐乃のコレクションを守るために親父と対決することにしました。


 恭介は不可能だと思われる頑固親父を説得し、桐乃のコレクションを守り切ります。


   ***


 これが『俺妹』の一巻の内容です。


 ネタバレしすぎると怒られそうなので具体的な内容はぼかしました。


 気になる方は、考察しがいのある作品ですので、中古ではなく親書で買って〝伏見つかさ先生〟を応援してください!!汗

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