続きを読ませる力
小説には対極の位置にある2種類の〝続きを読ませる力〟があるらしいです。
正直に言うと、私にはその片方の方法しか分かりません。
もう一方の〝続きを読ませる力〟については、まだ研究中で、本を正せば『異世界で俺は神になる!』もその分からなかった力を試してみるために書いてみたのですが、まだハッキリとしたところは分かりません。ある程度は再現できたと思うけれど、評価の星の数から考えるに、まだまだまるで足りていないのだと思います。
さて、前置きはこれぐらいにしておいて、まずは私のすでに知っている〝続きを読ませる力〟について書こうと思います。
それを知ったのは横山秀夫の『半落ち』を読んだ時の事です。
物語を読み終わった後の解説だったと思うのですが、横山秀夫は「読者にGのかかる物語が書きたい」と語ったことがあるらしいです(細かい言葉は違うかも知れません。すみません大汗
これはどういう意味かと言うと、読者という奴はある程度の圧がかかる物語に出会うと、続きが読みたくなるらしいです。
確かに横山秀夫の物語を何冊か読むと分かるのですが、重い内容が読者にのしかかるようなイメージで、深い謎解きといえばいいでしょうか? 続きが気になるんですよね。
個人的に、十年前などの文庫畑という奴は、こういった工夫で続きを読ませることが多かったと思います。
この物語を作るために、物語を、
序盤 謎の提示
↓
終盤 謎の答え
という構成で作られている物語が数多いですね。
またこれをさらに発展させているのが東野圭吾だったりします。
これもどこかの解説で読んだのですが、東野圭吾はこの物語の構成を、
序盤 謎1の提示
↓
中盤 謎2の提示
↓
中盤 謎2の答え
↓
終盤 謎1の答え
といった形で、大きな謎の中に小さな謎を埋め込み、これを逆順で開示していく、という方法で読者を引っ張っているらしいです(もっと謎の数は多く、謎3、謎4もマトリョーシカのように包んでいくとのこと)
重圧な物語の構成で続きを気にさせる。
これは私にとって理解しやすい面白さであり、私は『コネクトシステム』を書く時の第一目標がこれでした。
さて、ここまでが私の知っている〝続きを読ませる力〟であり、ここからが私の悩みだったりしますが、もうひとつの〝続きを読ませる力〟とは、すなわち現状のネット小説の〝読みやすさ〟です。
これは前述の方法とは真逆で、読者に〝ストレスをまるで与えず〟気楽に続きを読ませるという方法。
この方法も間違いなく〝続きを読ませる方法〟には間違いないのですが、これが私には理解しきれていません。
その正体は〝文体〟なのか、はたまた〝ひらがなの多さ〟なのか物語自体の〝ゆるふわ〟な雰囲気なのか。
その全てを含むのであるとは思うのですが、その正体が非常に掴みづらいです。
そして、この2種類の方法は矛盾しているように見えるのですが、考え続けていて、その先にあるモノが少しだけ分かりました。
個人的に感じている最大の違いは、一つ目の方法は〝続きを読ませるためにラストを目玉にしている〟ことに対し、二つ目の方法は〝続きを読ませるために今を目玉にしている〟ということです。
煮詰めて考える前は矛盾して組み合わせることができない〝読ませる力〟だと考えていたのですが、考え方を見直して、ようやく両者を取り込める気がしており――私が現在書いている物語の目標はこれを両立させることだったりします。
ちなみに『化物語』なんかはこの方法を綺麗に取り込んでいると思うんですよね。
『化物語』の構成を考えると、物語の核になる〝続きを気にさせる事件〟がありますが、その間に〝今を楽しませる会話劇〟が挿入されている。
『化物語』の作風と言うのは、二つの〝続きを読ませる力〟を上手く組み合わせた方法だったのだなぁと、今更ながらに思ったりするのでした。
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