第2話 鍛練

それからも鍛練の日々は続いた、正直何回もやめようかと思ってた、逃げ出そうかと思った。でもここで逃げたらあの糞爺にドヤされると考えると引くに引けなかった、どうしても見返したかった、最初の方は殺そうと思っていた。でも日々が、年が経つにつれて今では師として尊敬もしていた。だからこそいつか倒す、そう思っていた。


ーーーーーー

爺と出会ってしばらく経った。

そんなある日。

「おい坊主!飯食ったらとっととモンスターぶっ倒しにいくぞ!」

「わーったよ。」

今日も普段と変わらず魔物討伐の日々を過ごしていた、魔物を倒してその素材を売って金にする。

「今日はコボルトでも行っとくか。」

森を歩いているとすぐにコボルトの集団を発見した。

「爺、ここは俺に任せてもらおう。」

「ハナからそのつもりだってーの、とっとと終わらせてこい。」


腰に指した剣を抜き、戦闘のコボルトを切り裂き次のコボルトには喉を貫き、集団を全滅させた。

「よぉし、今日はいい肉が食えそうだな、後は木っ端微塵流の鍛練もするぞ。」

「うへぇ、またあれかよ。」

木っ端微塵流、爺が現在は当主らしくその流派は拳術を主体とするものだった。


ーーーーー

「そうだな…今日は木の葉返しでもやるか。」

「またかよ…いい加減他のやつも知りたいんだけどなぁ。」

木の葉返し、爺曰く木っ端微塵流の原点にして頂点の技…らしい。その実態は全方向からの攻撃をいなし、威力を殺すというものだった。

「これさえ覚えちまえば矢でも投擲ナイフでもなんでも返せるぜ。もちろん魔法もな。」

俺は渋々木の葉返しの鍛練をした。

構えをとる、左足を前に出し右足は引き、左手を前、右手は引く、これが木っ端微塵流守りの構え「流水」。

「おし、じゃあ石投げるからうまく返せよ。」

「来いっ!」

爺から全力で石が投げられる、ほんとにこの爺は手加減を知らねぇ。

「はっ!」

飛んできた石を左手で撫で勢いを落とし右手で上空に向かって掬いあげる。石を受ける手が痛む。

これを何回も繰り返す。


ーーーーーー

「はあっ…はぁっ…。」

「石はこんなもんでいいか、次は俺が突っ込むからそれを返せ。」

「チッ…。」

舌打ちをしつつ崩していた構えを直す。

爺が蹴りを放ってくる、それを左腕を盾として受け右手で足首を掴み上に向かって放り捨てる、それだけで普通人ならば体勢を崩し尻餅をつくだろう。

今日も鍛練が続いた。

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冒険者は未来を夢見る 「現想王国ラズマリアーノ」 エルフレア @erufurea

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