冒険者は未来を夢見る 「現想王国ラズマリアーノ」

エルフレア

第1話 過去のお話

少年は幼くして家族と呼べるものを失った、少年には母がいた、だが母は少年が2歳の時に死んでしまった、原因は少年には妹がいた、だが妹を産んだときが難産だったのだ、一命をとりとめたものの病にかかりそれが悪化し、死亡してしまった。そして彼の父親は男手ひとつで少年と妹を育てていた、そして2年がたったとき妹が病死した、流行り病で尚且つ病弱な妹は耐えきれず看病虚しく死んでしまった。そしてさらに一年後、父親が死亡した、元々肺の病を患っていた、それが悪化し吐血するようになり、体は弱り、魔人としての免疫力も低下し死亡してしまった。少年は5歳にして家族を失った、それからは町で盗みなどを繰り返し食いつないだ、風邪を引いた日には空腹も相まって死ぬかと思った。それから暫くして少年の前に一人の老人が現れた。

「よぉクソガキ、随分と暴れてるようじゃねぇか。」

「チッ…、誰だテメェ。」

「なぁ、俺と勝負しないか?お前が俺に負けたら俺の元に来い、逆にお前が勝ったらなんでも言うことを聞いてやるよ。」

「やってやるよ、後悔すんなよ。」


ーーーーーーーー


「しねぇ!」少年のパンチは当たることなく容易に避けられてしまった、全くもって歯が立たなかった。

「フンッ!」老人の拳だけで少年は地面を転がり腹を押さえてうずくまってしまった。

「おいおいあれだけ大口叩いたくせしてもう終わりか?」

「もういい加減よ、敗けを認めろよ、な?」

「まだ…負けて…ねぇ…。」

「ほぅ。」老人はそういうとうずくまった状態の彼を蹴り飛ばした。

「ガハッ!」肺から空気が漏れる、息ができない。

地面に転がった少年の元に老人は近づきしゃがみ問いかける。

「諦めようや、なぁ?」

しかし少年は無反応だった、老人がしばらく黙っていると少年の手が老人の足首を掴み、老人を転けさせた。

「とった!」少年はそういい拳を放つ、だがその拳は空を切る。拳を振り下ろした先に老人の顔は無かった。

「甘ぇんだよ、殺気でバレバレだっつーの。」

腕を捕まれ、拘束されてしまった。

「わかった!わかったから!負け認めるから!」

「はっはっは、いいぜ、今日からお前は俺の弟子だ。」


老人の名前は「イワオ=ヤシロ」

少年の名前は「エルフレア=バルディハイム」

それから二人の不思議な関係が始まった。

このときはまだ幸せだと思っていた。


ーーーーーー

それから老人のすむ森の家に行き一晩をすごし朝飯を食べ終わると老人がこんなことを言ってきた。

「おい坊主、腕立て伏せしろ。」

「はぁ?!腕立て伏せだと?!」

「あぁ、言ったろ?弟子にするって、つまり俺の言うことを聞いてもらう。」

「わーったよ、んで?何回だ?」

「そうだなぁー、とりあえず500回。」

「は?」

ーーーー

「はぁ…はぁ…はぁ…。」

「よーし、終わったな、じゃあ次は走り込みだな、どこ走るか案内するからついてこい。」

ーーーーー

「よし、このコースを走ってもらう、まあ森の回りだな、とりあえず100周な。」

「うっ…。」

ーーーーー

走り終わってから俺は朝に食ったものを全部吐き出した。途中でズルをしようにも要所要所に爺がいるせいでズルができなかった。

「よし、走り込みも終了と、じゃあ次はそこにある木刀を使っての打ち合いだ。」

「ま、待て…休ませてくれ…。」

「おいおい、お前俺を殺すんだろ?昨日だって言ってたじゃねぇか、そのためには早く強くならんといかんだろ?」

「言ったけどこんな練習頼んでねぇ………。」

「まあうだうだ言わずにとっとと構えろ。」


ーーーー

その日は爺の木刀が綺麗に決まりエルフレアは気絶し練習は終了した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る