第二段階
彼女に彼氏が出来た。
それは親友としてはとても喜ぶべきことで、片思いをしている身では嘆くべきことであった。しかし、彼女の前で私が恋心を寄せているなどと言ったことはない。言えない。言わない。言うなんておかしい。だから私は、彼女と一緒に無邪気に喜んだ。
その夜、髪も乾かさずにベッドの上で寝転ぶ。わたあめの上に乗っているような気分だった。羊が私を慰めている。世界がピンク色に染まって、彼を殺せと私に命じる。机の上には、帰り際に彼女からもらった飴玉。吸い寄せられるように袋を破り、頬張った。吐き気がした。どうしようもない虚しさに襲われて、口から出た言葉はもう言葉の形を保っていなかった。呼吸が荒くなる。喉が閉まって酸素を拒否しているようだ。それでよかった。いっそこのまま死んでしまいたかった。
涙は次から次へと零れてくる。全てが飴玉や宝石になる。部屋の中が水浸しだ。魚が泳いでいる。彼女との思い出を蹴散らしながら泳いでいる。わたあめは溶けて消えてしまった。羊は水に驚き逃げてしまった。
全部まとめて、冷凍庫にでも入れておけばよかっただろうか。一人にならずに済んだだろうか。
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