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ぬゆふ

第一段階

私は同性愛者である。

しかしこれを広めてはいけない。声を大きくして言うべきことではない。なぜならこれは異常なことだから。

彼女とは幼なじみであり、そしてよき理解者、親友でもある。つまりこの関係を壊すべきではないのだ。それほどまで良好なのだ。


「考え事でもしてるの?」

目の前に好きな人が突然現れた。一瞬硬直し、そして現状を理解する。棒付きキャンディーを舐めながら、彼女は鼻歌を歌いスキップを繰り返した。

「咥えながら歩いたら危ないよ。」

私の警告に最高の笑みを浮かべ、舐めかけのキャンディーを渡してくる。どうやら残りをくれるらしい。普通なら、気持ち悪いと思うだろうか。しかし私にとってこれは最上級の食べ物だ。口に含んだ途端、舌が痺れるような感覚になった。間接キスをしている事実に目眩がする。よろけそうな私に、彼女は相変わらず無邪気な笑顔を向けた。


彼女がゆうやけこやけを口ずさむ。歌声は赤く染まる空に溶けて消えてしまった。捕まえて冷凍庫にでも入れておけば、いつまででも聞けるだろうか。そんな無意味なことを考えながら、私はすれ違った仲睦まじい老夫婦を睨んだ。

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