第9話 貸した本にお菓子が挟まっていた問題

 そうなんですよ。近所の子に奥浩也「HEN」を貸したら、煎餅のかけらがめっちゃ挟まった状態で返ってきたんですよ。確か、中学生の頃か。大判なサイズの漫画で大人向けな内容だから、なかなか中学生が集めるにしちゃいいお値段だった記憶が。なので、二度と貸さないぜバカ野郎! と思いました。はい、心が狭いですね。中学時代の話ですからね。萩原一至「BASTARD!!」も何か、ページか表紙が折れて返ってきて、他の雑誌で挟んで伸ばした記憶が。


 本の保管については、子供の頃はかなり神経質でした。なぜなら、小遣いを全部つぎ込んで買っていたからです。たぶん、命の次に大事だったと思います。一時など、透明フィルム素材のカバー買ってきて、持ってる漫画全部にかけてました。そうすると、どうなるかっていうと、貸本屋状態になるんですけどね。そして、お菓子が挟まって返ってくる。酷いと、水分かなんかでベゴベゴになってんですよ、ページの一部が。そんなの見ると

「てめえの親はどういう躾してんだよおォう!!!」

って言いたくなったとかならなかったとか……そんなんなのに、何で貸すのか、お宝を。それは、近所だから借りに来るんですよ、家に。


 私の実家というか、昔の田舎って、玄関に鍵をかける習慣が無かったんですよ。しかも、玄関が開けっ放しとか。いるのが丸わかりだし、窓も開いてるし覗けるし。知り合いのオバちゃんに窓から呼ばれたりして。そんなわけで、頼まれたら断れないのです。

 今は便利ですよ、ラインとかなら既読しなきゃ「連絡取れない」で済むし。マンションは大抵鍵がかかってるし。子供同士も、いきなり家に呼びに来ないし、行かないし。昭和は良かったとかいう人の気が知れない。


 って言っても、田舎では今もそんな付き合いが残ってるんですかね。近所のオバちゃんがいきなり人んちの玄関開けて、そこのうちの子供の名前呼びながら居間に入ってきたかと思ったら

「あんた!いるんか!」

って言う感じの。そのセリフ、玄関で言ってくれよ、って突っ込みは誰もしない。それが当たり前だったから。


 いや、読書感想文のコーナーなのですが、本の貸し借りの話になってしまいましたとさ! おしまい!

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