第3話 文法の事 ⑶

 (まわる まわす まわし)の語感の違いを分析をする と 結局

 そのちがい は 語尾の音の違いからくるといえるでしょう。

 まえに調べた(まわす)と(まわし)のちがいをいま語尾の音のちがいに注目して分析することにしましょう。

 感覚をすこし研ぎ澄まして

(ス,ス,ス)(su,su,su)と発声し 次に(シ,シ,シ)(si,si,si)と発声し これを何度かくりかえしてみる と

(シ)の母音(i)が(ス)の母音(u)より窮屈な感じをうみ(ス,ス)が(スー)と(シ,シ)より動きを感じる度合いが強いことがわかります。

(まわす)が 終止をもち文末をむすぶことができるのにたいして(まわし)が 完了継続のような文を結ばず あとに言葉をとろうとする性質をもつのは 語尾の音の動的な度合いの強弱に由来しているようです。

 そこで

(まわる)の語尾(る)も同じようにして比べると(る)のほうが(す)より動的な度合いが強く感じます。

(まわる)も 終止をもち文のおわりをむすびます。

 では ほかの動詞ではどうなのか調べてみましょう。

(はしる)(はしり)では(はしる)は 終止をもち(はしり)は 完了継続です。

 わかりやすいように 終止をもつもの を 終止形 もたないもの を 完了継続形 と 呼ぶことにします。

(はなす)終止形

(はなし)完了継続形

(よむ)終止形

(よみ)完了継続形

 etcエトセトラ

(はなす)は

 わたし は はなす

 わたし は はなし

 わたし を ### の かたちをもたないのは 機能語(を)の働きから主語にたいして外から何かされる意味をもたない言葉は述語にとれないからです。

 コマ を まわす

 コマ を まわし

 コマ を とる なら (とる)の意味から述語としてなりたつわけです。これらのことは一般的になりたっています。

 ここまでで 機能語(を)と(は)についてはその本性が明らかになったとおもいます。

 もうひとつ重要なことがあります。

(る す し)の関係からどうやら50音にはある感覚たとえばいまみてきた動きの感覚の度合いなどが対応ずけられ割り振られているようです。

 言葉は表現しようとする五感にゆらいする感覚の 総体 全体としての概念を発声と対応ずけられものといえるででしょう。

 言葉の意味は文言ではなく感覚にゆらいする概念です。辞書のような解説の文言は概念を言葉で描写したにすぎません。

 その文言からもとの感覚概念を喚起しなければその意味をしったことにはならないでしょう。

 ひとつの仮説として

 ある さまざま な 感覚がその強度 度合いが50音に段階的に割り振られていたとして 言語を組織するはたらき おそらく大脳の言語野に存在しているとおもいますが いまそれを言語組織と呼ぶことにしましょう。

 言語組織 は いま何か表現しよう と あるいは伝えようとする感覚概念が生じたときその感覚概念をテーブル表のように50音に割り振られた感覚にてらし いま表現しようとしている感覚概念に一致するようにテーブルの感覚から合成したとしたら この合成感覚概念にはある音の組み合わせが生じることになる。これによって元の感覚概念とある音の組み合わせが対応ずけられたことになり これを発声することによって言葉となる。

 言語組織が存在し感覚のテーブルをつくり合成感覚概念によって感覚概念と音を対応づけ副次的には音便のような うつりによる音の発声上の相性による調整のような処理をしたりして言葉を組織しているのではないでしょうか。

(が に の も)などの機能語の働きについての解説はあとにしておきましょう。

 ではまた !

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