第31話 seven keys world
「何人だ。何人残ってる?」
俺は教室を見回す。
サラが……いない。ほかのメンバーは何とか残っている。UGWはどうだったのか。
「ガル、何人だ!」
「44人墜ちた。ヴェリントンメンバーの半分以上が墜ちた」
「雫!そっちはどうだ!」
返事がない。ガルがイエロードッグを見に行くが誰もいなかった。システム攻略は成功してフロアにはゴールドキーが落ちていたが、プレーヤーが誰もいなかった。外の待機要員も誰もいなかったと連絡が入った。
雫を含めた全員が相討ちだったとでも言うのか。ホログラム通信機で雫を呼び出すものの、接続すら出来ない状態だった。まさかあの雫が……。
「新海さん、最後、ものすごい巨大なプログラムが走ったでしょ?あれ、たぶん雫さんだわ。攻略というより破壊していった感じだったから。きっと破壊のスキルをプログラムに変換して使ったんだと思う。でも自分よりレベルの高い相手に行使したから……」
「自分自身が消滅した……」
ロザリオさんかが口にしたのは雫の死だった。集めた他のメンバーが全滅したのを受けて、自身の命を懸けて特攻したというのか。あいつ……。
俺は雫を疑っていた。なにかと秘密を隠し持つ雫。すべてを知った上で俺たちと行動を共にしている様にも感じていた。しかし、それは間違いだったのだ。俺たちを救うために命を投げ出したのだ。疑った俺が恥ずかしい。
「雫……」
すべてを終えて俺たちはOPWのミストラルエリアにある塔に向かった。
「これで鍵が7つ、全部揃ったわけだが。塔の中、外、どちらに鍵を使うか……」
「外の鍵穴には色分けがない。やはり塔の中にあるコンソールに使うべきだと思うわ」
ロザリオさんからの提案に意義はなく、皆塔の中へ足を進めた。
「もう残りは俺たち7人になってしまったな。1人1本の鍵を持とう」
念のため、レベルの高い順番に入手高難易度キーを手に取る。
金属のゴールドキーはロザリオと俺、金属シルバーキーはセルシス、金属ブロンズキーはローライン、木製ゴールドキーはヘルエス、木製シルバーはガル、木製ブロンズはアリーシュ。
カラーマスターのガルとアリーシュが高難易度キーを持つべきかという話が出たが、レベル不明という不安要素があること、仮に入手難易度順に何か起きるとしたら、この2人なら容易に攻略、他メンバーサポートに回れるだろうという意見で落着した。
「それじゃ差し込むわよ」
ロザリオは周りを見回し、ほかのメンバーも生唾を飲み込みながら鍵を各コンソールに差し込む……。
『Welcome to seven keys world』
画面にはそう表示され、キャラクター名 種族、得意武器、属性、リーダーの設定等のスターター画面が展開された。
「なんだよこれ……これからが本当のseven keys worldだってのかよ……。まさか、このゲームのラスボスがオールド・マスターって事はないよな……」
分からない。そもそも種族ってなんだ。ヒューマン、エルーン、ドラフにハーヴィン、最後の種族不明ってなんなんだ。得意武器に属性……。以前のseven keys worldはスキルなんていうゲーム性の高い要素があったが、どちらかというとシステム攻略がメインだった。だが、このseven keys worldはどうだ。完全にロールプレイングゲームだ。
「さて……。どうする?鍵はこっちに使うのが正解の様だが。ゲーム名がseven keys worldってことはこのゲームで獲得する鍵を外の鍵穴に差し込むとオールド・マスターと戦うって感じなのかも知れないな」
ガルは両手を頭の後ろに組んでイスの背もたれに大きくもたれ掛かる。
「ガル、オールド・マスター、君の父親はこんなゲームの中にゲームを設定するような性格なのか?」
「いや、そこまでは歪んでねぇ。高いハードルは課すが、それに応えたヤツにはそれ相応の対応をするヤツだ。こんな手法を採るのは想像しにくいな」
「でも実際にはこうして間の前にゲーム画面があります。やりましょう」
最後はセルシスの一言で皆、目の前の設定画面に目を向ける
「そうだな。やるしかないな。それに、この環境で進めるのなら皆、会話出来るな。それに長期戦になる可能性が高い。柏木とシュガーに必要物資をここに運んで貰うように依頼しよう」
俺たちはゲーム開始の準備を進め、いよいよゲーム設定を開始した。
「7人に対して種族は5種族。属性は7、得意武器は10ある。それより、まずはリーダーの設定だが。どうする?新海、お前やるか?」
ガルから推薦が入る。個人的にはロザリオさんが適任だと思うのだが。結局皆の意見で俺がリーダーをやることになった。
「さて、これで準備は整ったわけだが。それでは……ゲームスタート!」
「おいおいおいおい!どーなってんだよ!どういうことなんだよ!」
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