甘い夜に、君と

私を見下ろしている巴は、やっぱり男だった。


――ああ、今から私は彼に抱かれるんだ…。


そう思ったら、緊張してきた。


「――怖い?」


巴が私に声をかけて、頬に触れてきた。


私の頬に触れたその手は、まるで壊れ物を扱うかのように丁寧だった。


「――少し…」


それに対して私が呟くように答えたら、

「俺もめちゃくちゃ緊張してる…。


ずっと好きだった子とこうしているんだから…」


巴はそう言い返して、私の唇に触れるだけのキスをした。


「――めあり…」


巴が私の名前を呼んだので、

「――巴…」


私は彼の名前を呼んだ。


「――好きだ、愛してる…」


「――私も…」


巴がまた私と唇を重ねてきた。


今度は口の中に舌を入れてきて…深く、まるで私を味わうかのようにキスをしてくる。


「――んっ、ふっ…」


頭の中がぼんやりとし始めてきているのが、自分でもよくわかった。


もう無理だ…と思った時、巴の唇が離れた。


「――と、巴…?」


かすれた声で名前を呼んだら、

「――今のめあり、すっごいエロい顔してる…」


巴は呟いて、私の顔の横に顔を埋めた。


「もう、本当に歯止めが利かなくなっても知らないから…」


そう言った巴に、

「巴なら、何をされてもいいよ」


私は答えた。


「…だから、俺を煽るなってば」


巴はそれ以降はしゃべらせないと言うように唇をふさいだ。


「――んっ、やっ…」


巴の手が私の服を脱がしてきた。


露になった肌に巴は何度も唇を落とした。


「――あっ、ああっ…」


巴に愛されているんだと、知らされる。


「――かわいい…」


巴は胸の先を口に含んだ。


「――んっ…!」


もう片方の胸の先は、巴の指によって弄ばれる。


どうしよう、気持ちよ過ぎる…。


頭の中がフワフワしてきて、何も考えられない…。


「――やっ、巴…」


これ以上されたら、私はどうなってしまうのだろう…?


巴は胸から顔をあげると、ニヤリと唇をゆがませた。


「そんなに急かされたら、俺もどうすればいいのかわからない」


巴は再び私の躰に唇を落としながら、ゆっくりと私の脚を開いた。


そこがどうなっているのかは、自分でもよくわかっている。


「胸だけで感じたんだ…」


「――やっ、言わないで…」


恥ずかしくて脚を閉じようとするけれど、巴が間に入っているせいでかなわなかった。


「――んっ…!」


そうこうしていたら、巴が太ももに唇を落とした。


「コスプレするたびに、この脚にさわりたいなってずっと思ってた」


そんなことを言った巴に、

「…巴って、脚フェチなの?」


私は聞いた。


今のはあきらかに、そう言う発言だよね…?


「めあり限定の脚フェチだって言って欲しい」


「な、何よそれ…あっ!」


巴の唇が敏感なそこに触れてきたので、私の躰は震えた。


「――やっ、ダメ…!」


「ダメって言ってるわりには、ここは満更でもないみたいだけど」


「――んんっ、ああっ…!」


敏感な蕾を熱い舌で舐められる。


「――ああっ、ふああっ…!」


目から涙がこぼれ落ちる。


もうダメだ…。


これ以上は、もう耐えられない…。


巴が蕾をカリッと甘く噛んだその瞬間、

「――あっ、やあああっ…!」


私の頭の中が真っ白になった。


「――あっ、ああっ…」


躰がビクビクと震えている。


「――めちゃくちゃエロいにも程があるでしょ…」


呟くように言った巴に、

「――だ、だって、気持ちよかったから…」


私は荒い呼吸をしながら答えた。


「へえ、それはそれは…」


巴はそう返事をすると、先ほどまで舌が触れていたそこに自分の灼熱を当てた。


まだ入れられた訳じゃないのに、私の躰は震えた。


「――巴…」


「――んっ、痛かったら言ってね…」


巴はそう言うと、私の中に灼熱を入れてきた。


「――うっ…!」


先ほどの快感から一転、悲鳴をあげたくなるような痛みが躰を襲った。


「――あっ、ううっ…」


「――んっ…」


その痛みをごまかすように自分から巴にキスをしたら、巴はそれに応えてくれた。


「――んんっ…」


「――ふっ…」


巴は唇を離すと、

「――入った…!」

と、荒い呼吸をしながら呟いた。


「――あっ…」


こぼれ落ちる涙を巴の手がぬぐってくれた。


「ごめん、思った以上に痛い思いをさせたみたいだね…」


それに対して私は首を横に振ると、

「巴と繋がれてよかったって思ってる…」

と、言った。


巴はフッと微笑むと、

「あんまり嬉しいことを言うなよ」

と、言った。


「俺も同じことを思ってるから」


巴の唇が私の唇に触れたのと同時に、私は彼の背中に自分の両手を回した。

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