第26話 難航する秘密兵器

無事、『ブリッツ・ギア』を入手したかりきゅー部のメンバー。華恋は大喜びで研究に没頭しています。


さて、もうひとつの課題である、秘密兵器となる新入部員の確保ですが・・・。


「難航しています」

「何個?」

「ブリッツ・ギアは1個よ」

「無事見つかって良かったわぁ」

「いや、マジで聞いてくれ!秘密兵器になりうる新入部員を見つけたが、勧誘に難航しているんだ!」

「どんな人?」

「交換留学生のあの人」

「あー、あの女の子かぁ。ウチもエエと思うけど、なかなか難攻不落やと思うで?」

「ということで、協力をお願いします」

「はぁ。待田君が不甲斐ないために、私たちにお鉢が回ってきたわけね」

「仰る通りです」


了は優雅に一礼しました。無駄に仕種が格好いいです。


「彼女を攻略するには、準備が必要よ。敵を知り己を知れば百戦危うからず」

「敵?」

「彼女・・・、『ナンシー・リリス』さん。マジシャンクラスの交換留学生」

「今は部活には所属してへんみたいやね」


ナンシー・リリス。アメリカからの交換留学生で、金髪ロングの美少女です。


「日本の文化が大好きで、日本語も堪能なんだよね」

「そうそう!」

「了にしては、なかなか目のつけどころがいいじゃないか」

「もっと褒めて!」

「待田君、あまり調子に乗らない。これからが難しいところよ」

「ほな、ナンシーさんを勧誘する作戦会議といきまひょか」

「そうね」

「評定?」

「そうね。そうとも言うね」


「密月先輩の真似」


了がパンパンと手を叩きます。


「最近、それが流行しているの?」

「部活内で流行させようとはしている」

「じゃあ次はウチの番やね」

「話が脱線しかけています!」

「閑話休題ね。元に戻しましょうか」

「はい!僕の意見としては、ゴウリキさんに勧誘を手伝ってもらおうと思うんだけど、どうかな?」

「ゴウリキさんに?」

「うん。次期オリンピック候補選手に声をかけてもらえれば、ナンシーさんも気持ちが傾くと思うんだ」

「フムフム・・・ありね」

「ウチも隼人君の意見に賛成やね」

「なるほど、その手があったか!」


全員の意見がまとまります。


「よし!今からバレー部に行って、ゴウリキさんに協力してもらおう!」


かりきゅー部の4人は、女子バレー部が部活する体育館に向かいます。


「かくかくしかじか」

「なるほど、ワタシがナンシーさんを勧誘すればいいのね?」

「はい。この役目はゴウリキさんにしかお願いできないわ。かりきゅー部の役に立ちたいなら、協力してちょうだい」

「いいけど、かりきゅー部の部長って誰だったかしらん?」

「はーい!かりきゅー部部長はバカップルの片割れ、公開プロポーズして後悔した隼人団三でーす!」


「ああ、ときどき忘れそうになるのよね。隼人君が部長ってこと」

「ガーン!僕、影が薄い!?」

「ようやく気づいたわね」

「そう落ち込むなよ、団三」

「まあまあ、放心もとい方針も決まったことやし、のんびり一服しまひょ?」


団三が放心状態のまま、恒例のお茶会で締めくくられました。

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