第24話 深夜の密会

「最近、団三とイチャイチャできていない件について」


陽華の愚痴です。


「まあ、そうだね」


団三も頷きます。


「2人きりになれる時間が少なすぎる件について」

「全くその通り」

「カップリング成分が不足しているわ」

「全くその通り」

「部活に集中している証拠でもあるのかしら?」

「全くその通り」

「団三、思考停止しているわね?」

「全くその通り」

「ちょっと丁寧に言ってみて」

「仰る通りでございます」

「だいぶ丁寧やなぁ」

「あら、千野先輩。いらしたんですか?」

「会話に参加してないだけで、最初からおったで。カップルがどんな会話するのか気になりましてん」

「支店?」

「支店長!」

「株式会社、千野産業をよろしゅう。茶道の専門家やで」

「うわぁ、あり得そうだぞ」

「末は社長か大臣か、ね」

「支社長?」

「このネタはあまり面白くないので、やめまひょう」

「閑話休題。話を元に戻すわ。秘密兵器となる新入部員の確保か、『ブリッツ・ギア』の確保。このどちらか、あるいは両方が当面の目標になるわ」

「前回の話のおさらいだね」

「で、待田君が秘密兵器、もとい新入部員の確保に奔走しているわけやね」

「で、私たちはというと、華恋お姉さんが今日も休みのために、ひとまず部室で戦術を構築しつつ、団三とイチャイチャするのを画策しているわけよ」

「ウチ、お邪魔虫?」

「いえいえ、千野先輩には日頃から超回復でお世話になっているので、お邪魔虫だなんてとんでもないです」

「そうね。悔しいけど、千野先輩のお茶の威力だけは評価に値するわ」

「それって、ウチ自身は評価に値しないってことかいな?」

「陽華!言い過ぎだよ!」

「でも、ウチの実力やと『ブリッツ・ライン』で体力面ではあまり活躍できないんも事実や。このままやとアカン気がするぇ」

「お姉さんの真似」


陽華がパンパンと手を叩きます。


「とにかく、普通のことをやっていても拉致があかないわ。まずは『ブリッツ・ギア』の確保を目標に定めましょうか」


陽華の提案です。


「秘密兵器の確保を待田君に任せるのは、ちょっと心配やね」

「まあ、了はやるときはやってくれるから。多分。きっと」

「なんだか、語尾が心配ね」


「はっくしゅん!」


噂された了は、同じ頃くしゃみしていました。


「華恋お姉さんから連絡があったわ。今夜の零時から1時間だけ研究室を明けるから、その間に『ブリッツ・ギア』を探してほしいとのことね」

「ウチ、夜更かしはアカンのや。展開的に、バカップルに任せる方向が面白くなりそうやろ?」

「バカップルねぇ」

「千野先輩、そう言っていい雰囲気になったときに突撃してくるんじゃないでしょうね?」

「そこまで性根は腐ってへんわ」

「でも、だいたいラノベとかだと、いい雰囲気のところでぶち壊されるよね?」

「まあ、それはお約束ってやつね」

「とにかく、深夜の密会はバカップルにお任せします。お邪魔虫は退散しますゆえ、思う存分イチャイチャしてくださいませ」


「でも、現実的にイチャつく余裕ないわね」

「『ブリッツ・ギア』の探索か。まあ、やるだけやってみようか」


深夜の密会、後半へ続きます。

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