第21話 模擬戦

男子2名がリタイア。

女子の対決に、模擬戦の行方は委ねられています。


「クリエイト(創造)!」


陽華の魔術演算能力で、コアフラッグが2個になりました。


「はて?どちらが本物?」


脳みそ筋肉的なゴウリキさんの思考が停止します。


「コアフラッグの破壊より、純粋な勝負はいかがかしら?」

「リョーカイよ!」


ゴウリキさんの巨体が、細身で華奢な陽華に迫ります。


「クリエイト・ストーン!」


ゴウリキさんの足元に岩石が現れました。


「わわっ!?」


ゴウリキさんが慌てます。


「その間に、私はコアフラッグの破壊を狙う。クリエイト・ストーン!」


本物のコアフラッグの上に岩石が出現して、粉々に破壊されました。


「試合終了。この模擬戦、待田了・密月陽華ペアの勝利!」


華恋の声が響き渡ります。


「負けた・・・。この、ワタシが・・・」


ゴウリキさんが膝から崩れ落ちます。


「ゴウリキさんは体力はあるけど、演算魔術による絡め手に弱いわね。筋肉一辺倒の弱点が露呈したわ」


「さすが、ウィザードクラス。お見事だったよ」


陽華の冷静な評価に、了が素直に賞賛します。


「僕の彼女なら、これくらい当然。つまり僕たちの勝利だと、僕はどや顔で絶賛する」

「ありがとう。でも団三は格好悪かったわ」

「ガーン!!」


陽華の辛辣な評価に、団三は漫画的なショックの擬音を口走ります。


「ワタシは筋肉に頼りすぎていた。これからは、演算魔術についても勉強します」

「素直で、いい子ねゴウリキさん」

「ウチは陽華ちゃんの動きに惚れ惚れしてたわー。回復能力特化やから、あないに動けへんのよ」

「いや、千野先輩の回復能力は僕らにとって必須だよ」


互いに好き勝手言い合う中、華恋がパンパンと手を叩きます。


「はい、指揮としての総評。男子2人は演算魔術を磨く。ゴウリキさんは、演算魔術に対する目線ができあがり、良い感触ね。密月(妹)はクリエイトを使用するのはいいけど、ボクなら直接コアフラッグの破壊にストーンを使う。そう、ゴウリキさんにダメージを与えるのも厭わない。陽華、君はまだまだ優しすぎる」


オブサーバーならではの鋭い視点からの批評です。コアフラッグを破壊した殊勲者の陽華にも、身内だからこそ辛辣な意見を下します。


「模擬戦だから、部活仲間だからとゴウリキさんにダメージを与えることに躊躇した私は、戦闘に不向きかしら?」


「まあ、同じディフェンスのウチがおるゆえ、あまり気にせんでええと思います。ほな、みんなお疲れはん。お茶どすぇ」


最後はお茶会で、この日の模擬戦は終了しました。

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