第20話 ゴウリキ・彩菜の秘密
ゴウリキ・彩菜。
女子高生。
次期オリンピックの女子バレー代表強化候補。
寡黙で筋肉質、腹筋が割れているハーフ系女子ということで、女の子からの人気は高いです。
しかし残念ながら、彼女は同性をオタク扱い、所謂『腐女子』扱いしてしまうほど思い込みの強い女子でした。
男子からも、その男勝りで屈強な体躯により、敬遠されがちでした。
「ワタシは、本当はバレリーナになりたかった。ママンが、スポーツをやるなら球技にしなさいって言うから、ひたすらスパイクを打つ練習を繰り返し、この身体を手にいれた」
そうです。実は彼女は腐女子でありながら、二次元に倒錯する同族嫌悪の持ち主だったのです。
「ドアホン!!いつまでも練習に明け暮れてないで、そろそろ、かりきゅー部にきてください」
前半は怒り全般、後半に冷静になる団三の台詞です。
「かりきゅーぶ?なにそれ?あなた誰?」
「駄目だこの娘、早く連れてかないと」
「いやーん、痴漢!!?」
「駄目だこの娘、馬鹿力が陽華の比じゃない。とにかく、かりきゅー部にきてくださいーーーー!」
幾分後。
「了!話が違うぞ!俺が行ったのが間違いではないだろうか?」
珍しく、団三が俺様モードでガチギレしています。
「ラブラブカップリングで説得に行くのが、間違いじゃなくて正解でない」
「駄目だこいつ、了の言語レベルがダウンしている」
「千野先輩の毒茶の影響が強すぎる件について」
「陽華、今更お家モードでラノベ風のツッコミはやめてくれ」
「ウチの本気の惚れ薬で、説得に行ってみたいんやけど」
「百合路線は作者の苦手分野だと、ボクはどや顔で」
「ツッコミを入れるのは僕の役目だい」
「えーと、おれの役目は剣道部かな?」
「時間溯行要素は今更よ」
「えーと、ボクは手ブラしながら陽華の」
華恋が手をブラブラさせながら、とある女子に近づきました。
「手を繋ぐふりしてワタシのブラの柄を確認しない!!」
「うわっ!?」
「ゴウリキさんが参加してくれた!」
「この人もツボがおかしいのか!?」
「待って!さっき『うわっ』って言ったの誰!?」
「ボクじゃないよ」
「僕まで巻き込まないでや!なんか、シャツが剥ぎとられた」
「いやーん、下着泥棒!」
ゴウリキさんが普通に会話に参加してきました。意外と乙女です。
華恋によって剥ぎとられた団三のシャツは、ゴウリキさんによって引きちぎられてしまいました。
「さて、メンバーも揃ったことだし、模擬店を始めようか」
「密月ビックハムスター先輩、模擬戦じゃないかしらと私は素直にツッコミを入れる」
「ワタシ、焼きそばが食べたい」
「ほな、ウチの出番やな。ひとまずお茶飲んで落ち着きなはれ」
メンバー全員が一服します。
「えーと、俺は剣道部かな?」
「じゃあ、僕は空気を読まずに野球のルールを時間溯行してみる」
「タイブレーク開始かな?」
「了、それテニスや!今は野球の話がしたいんや!」
「『ブリッツ・ライン』って、どんなルールでしたか?」
ゴウリキさんが素に戻ったので、模擬戦になります。
「今回の模擬戦は、中間ポイントから簡略化してスタートしてもらう。純粋なタイムアタック、しかもボクのオブサーバーの補助なしだ。どちらがコアフラッグの破壊を先に実行できるかを重点に置いている」
隼人団三・ゴウリキペア
対
密月陽華・待田了ペア
「今回は模擬戦だから、オフィシャルのマシンにダイバー登録しなくてもオッケーだけど、くれぐれも事故のないように気をつけてくれたまえ。では、『ブリッツ・ライン』模擬戦!スタート!!」
まず、ゴウリキさんが巨体に似合わずスタートダッシュを決めました。彼女はそのままコアフラッグを破壊しようとして、陽華の妨害を受けました。
「!?」
「防衛オブジェクトはウチのチームのものだけ。コアフラッグは1本だけ。お姉さんが仕掛ける、言葉の演算魔術ね」
そうです。中継フィールドにはコアフラッグが1本。4人が同時に同じフィールドに揃う、変則フィールドです。
団三と了の親友対決も加速しています。
「やられたらやり返す、それがこの学園の特色だ。ドーピングみたいだが、俺は鍛えられた!!」
了が筋肉質の身体を見せつけながら、竹刀を構えます。
「よし!ノック始めるで!親友なんか、ノックアウトや!瞬殺や!」
団三は大量のボールとバットを構えて、ノックを開始しました。
「剣道着があるから無問題(ノーマンタイ)」
了が団三に近づきながら、隙を見て竹刀を放り投げます。
「むっ!このパターン」
団三は瞬時に了の作戦を看過。ゴルフスイングの要領でボールを入れている籠にバットを当てて、大量のボールを転がしました。
「回転打法!ちょっぴり失敗か!?」
団三は派手に転びました。自滅です。
団三の上を、了の投げた竹刀が通過するのを見計らって、団三のボールがナイスタイミングでぶつかりました。竹刀は了の足元に落ちました。
「えっ」
ドッカーンという音とともに、爆発。両者、相討ちという誠に残念で微妙な結果に終わりました。
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