第15話 メンバー集め
団三が命名した「かりきゅー部」が始動します。
「ゴウリキ・彩菜です。よろしくお願いします。時間差攻撃が得意です。普段はバレー部の部活動を優先で、決闘システムのときだけかりきゅー部に参加します」
「よろしくお願いします!」
「次期オリンピック代表候補のゴウリキさんが協力してくれるなんて、まさに僥倖。お姉さんの根回しの強さを実感しているわ」
「尊敬の眼差し・・・」
「待田君、自分の口で言うと効果が薄れるよ。男は黙って、俺についてこいって感じの人がボクの好みだね」
「・・・」
かりきゅー部の、現時点でのメンバーの顔合わせです。隼人団三、密月華恋・陽華、待田了にゴウリキ・彩菜を加えた5人がかりきゅー部の全員になります。
「とりあえず、ボクが顧問というかオブサーバーの役割を担おう。新しい決闘システム『ブリッツ・ライン』は7人の競技になる予定だ。4月は戦術の練習期間、5月から本格的な対抗戦が始まる。まずはメンバー集めに尽力を尽くしてくれ」
「あと2人かぁ」
「最低、あと2人ね。予備の部員が多いほど、戦術が多彩になったり、疲弊が防げるわ」
「俺、剣道部の先輩に知り合いがいるから当たってみるよ」
「ワタシはもう、バレー部に行っていいですか?」
「どうぞどうぞ」
「了、戻って来なくていいぞ。俺は今から密月姉妹とイチャイチャパラダイスだからな」
「私、イチャイチャバイオレンスの方が好きかしら」
「奇遇だね、ボクもバイオレンスが得意だよ?」
「ごめんなさい。ちょっぴり調子に乗ってました」
体育会系の2人が抜けました。
「私も茶道部の先輩に相談してみるわ」
「ボクは権力は強いけど、メンバー集めには協力できない。そういう条件のもとでオブサーバーになれたんだ。戦術面では任せてくれたまえ」
「期待してます、華恋お姉ちゃん!」
「密月先輩よ、隼人君?」
「恋人から言われると、僕のハートに大ダメージ!新たな性癖が開発されてまうやんけ!!」
「茶道部の先輩に連絡したら、すぐに来てくれるそうよ」
「ひょっとして、和服姿のあの人?」
「ひょっとしなくても、着物大好きなあの有名人ね」
会議室の前に、ドタドタバタバタという足音が聞こえてきました。着物を少し引きずる音もしています。
「呼ばれて飛び出て、ウチ、参上!」
ガタガタっという音がします。会議室のドアには鍵がかかっているので、開きません。
「あぁん、鍵開けてぇな、陽華ちゃんのいけずぅ」
(((バリバリの京都弁だ・・・)))
3人とも、この人のことを良く知っているので、あえて鍵を開けずに反応を伺っています。
「ほな、この細い釘でピッキングさせてもらうで?」
「ごめんなさい、千野先輩。華恋お姉さんが開けるなって言うから、ついからかってしまいました。私は悪くない」
「ボクのせい!?」
「ごきげんよう」
「こんにちは、千野先輩」
「あらあら、入学式で大胆に喋りよった坊っちゃんやないの。早速姉妹丼を体感しとるんか?ウチはハーレムに入らへんで。難攻不落の鉄壁着物娘や」
「胸も絶壁?」
「妹ちゃんよりはあるで」
「女性が着物着るときって、下着履かないってマジですか?」
「どうやろか?ふふふ、な・い・しょ」
「アカン、着物娘攻略できひん」
「もっとお上品にならなあきまへんなぁ。できひんやなくて「できへん」。品がない」
謎の和服コスプレの先輩は、細い眉を吊り上げて団三を睨み付けます。
「改めまして。千野聡子(せんの・りこ)と申します。陽華ちゃんの1コ上の先輩です。よろしゅう、おおきに」
聡子は優雅に一礼しました。着物の裾を両手で持つ、完璧な仕草です。陽華と華恋も同じ角度で一礼。団三だけ、慌てて会釈しました。
「ウチ、運動は苦手やねんけど、それでも大丈夫?」
「大丈夫じゃないです。けど、戦術面ではスーパー賢者の密月ビックリシスター先輩が大活躍する予定です」
「ビックリ箱、もといパンドラの箱だからね、華恋お姉さん」
「密月先輩よ、崩壊までカウントダウンが始まっているバカップル(笑)」
そう言いながらも、華恋は陽華と団三に微笑みかけながら温かい眼差しで見守っている感じでした。
「なんや、ウチの入り込む隙間があらへん・・・」
とにもかくにも、「かりきゅー部」のメンバー集めは、あと1人になりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます