第12話 登校

激嵐学園での大波乱の入学式の翌日。


「おはよう、陽華。光陽ちゃんも」


「「「おはようございます!!!」」」


3人の朝の挨拶です。

因みに、華恋はカロリーメイトを咥えたまま、セグウェイに乗って激嵐学園に早朝から向かったため、ここにはいません。


『学園に向かいます。探してください』


という書き置きが、密月家の机の上にありました。


異世界研究会会長は、大忙しなのです。


「華恋さまがいないので、3人で通学しましょう」

「「はい」」


一番若い光陽が、この3人の中では支配力が強いです。純粋な光陽の視線は、バカップルをぶち壊すという華恋の指令と、応援してあげたいという気持ちで蠢いて、複雑怪奇なのです。


「光陽ちゃん、昨日はよく眠れた?」

「ぐっすり!」

「私はちょっと、薬のお世話になったわ」

「せいりつー?」

「筋肉痛?」

「頭痛よ!」

「だれのせい?」

「僕かな?」

「一概には言えないわね。ビッグシスターの影響が大きいわ」


「おねーさまのせーりきかんは・・・」

「それ、僕にはいらない情報かな」

「禁則事項よ、光陽。今晩の食事のときに、味覚壊し(テイストブレイカー)を発揮するわよ」

「でたっ!てーすとぶれいかぁ!!」

「被害者は僕かな。野菜入れすぎるから、水っぽくて薄味になるんだよ。というか味がない。違う意味で味覚障害になって、未確認生物に実験台にされる妄想が捗る」


団三は光陽がいると、教育に悪影響を及ばさないように標準語になります。


「うすあじ、キライ!」

「僕も嫌いだなー」

「じゃあ、私のことは?」

「光陽ちゃんよりかは好き」

「さすが、お兄ちゃん!かっこつけろ!」


激嵐学園初等部に到着しました。ここで、光陽は2人とお別れです。


「またね、陽華お姉ちゃん!あと、未来のギリギリ義理のお兄ちゃんになるかもしれない人」

「光陽ちゃんには、もっと純粋でいて欲しかったよ」

「あの姉(笑)じゃ無理よ」

「ところで、あっちからハチマキ巻いて筋肉質で学ランの男性が近づいて来てるんだけど」


「急に腹痛が催してきたわ。光陽が心配だから、戻りましょう」

「その男性の後ろから、僕の恋人(仮)のお姉さんらしき女性も待ち構えておるんやけど、エエんか?」


「観念しましょう。当たって砕ける?」

「頑固さの話かな?なら、こっちの勝ちや!勝ったな刀、木刀買った?」


「この木刀はただの飾りである。改めて紹介しよう。時間溯行同好会会長・剣将軍である」

「で、私が密月華恋よ。バカップル(仮)に喧嘩を売りにきたわ」


華恋の話し方はフォーマルです。研究者モードのときは、学園No.1の頭脳を発揮するための自己暗示でもあります。


「決闘かい?」

「決闘会?バトル路線に変更?ずいぶん気が早いわね。私たち、まだ入学2日目の新入生ホヤホヤよ?」

「いや、君たちは入学前から準備を手伝ってくれていた。対立の件はさておき、協力を申し入れしたい」

「ぶっちゃけると、昨日の誰かによる公開、もとい後悔プロポーズは私の指示よ」

「やっぱり。団三らしくないと思っていたわ。それで?協力とは?」


「昨日のデモンストレーション、バカップルの痴話喧嘩について、どう思う?」

「うーん、ボク個人的には面白かったけど、決闘システムの見直しが必要だと思う」

「うむ。俺も、重々承知している!どういう形が相応しいか、悩んでいるところだ」


「そうね。異世界の情勢としては、拉致問題が世論を騒がせているので、沈静化が必要ね」

「時間溯行同好会のほうが、自分で作ったアニメキャラ(二次元)を三次元化しているので、僕個人的には賛成だけど、陽華は両方反対なんだ」


「お互いの意見は尊重できるけど、本格的な戦争になる前に、法律の整備が必要かしら?」


「一応、激嵐学園が教育機関であるとともに、異世界関連の国会的な最先端の諮問機関でもあるけど、ちょっと難しい問題がはらんでいるわね」

「うむ。この物語の読者がついていけるかわからない」

「じゃあ、ラブコメ路線に戻す?僕もう、昨日の後悔プロポーズで心臓ドックンドックンいってて、黒歴史を大公開したいところだよ。陽華の黒歴史を」

「じゃあ、メタ発言のまま、一度過去編に突入しましょう」


過去編が始まる!


「ボクの出番はあるぞ(意味深)」

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