第11話 密月三姉妹 3

『いただきます』

「いただきまたん!!」


3姉(妹)の一番下にあたる光陽が、華恋・陽華の挨拶が終わる前に、箸を鬼のように翳して、簪を作ろうとしました。


「はーい、光陽、食べる前に遊んじゃ駄目駄目駄目駄目駄目駄目な感じだけど、唄うのはやめてね」


「ボクは食べ終わる前に、キチンと箸を端に揃えた」


「お姉さん、介護認定受けるのは、もう少し先よ」


「・・・はっ!食べる前に、うたた寝していた。睡眠睡眠睡眠睡眠睡眠不足」


「みんみん!みんなでたべよう!にゃんたいもり!!」


光陽が謎めいた歌を唄います。


「姉妹戦隊にゃんたいじゃー」

「戦隊もの!!」

「光陽、洗濯ものが増えるから服を汚さない!華恋お姉さんも、端で私の服を摘まんで、膨らみの差を見せつけないでちょうだい」

「ちぇっ、食事マナーの基本だよ。とボクはドヤ顔で」

「おねーさま、そしゃくしてるときはしゃべっちゃ駄目ですよ?」

「ごめんなさい」

「ちんまい方のお姉様ね?」

「陽華おねーちゃんは、お姉ちゃん」

「・・・」

「ゴクゴク・・・ノンアルコールジュースを飲むボクは大人。と決め台詞でかっこを」

「お姉さん、漬け物が残っているわ」

「こども!なかま!」

「漬け物を残す孤高な選手、それかボク」

「はい光陽!あーん」

「モグモグ、おいしい!!」

「光陽は純粋でかわいい、とボクは」

「とぼける?」

「首をかしげる光陽はかわいい、とボク」

「素朴?」

「素朴な味が素敵ね、とボク」

「素直な敵ね、と私は」

「「独白する」」


「「「ごちそうさまでした」」」


「さて、皿洗いはボクの出番である、とボクは出歩く」

「ひかりはおさらふき!」

「じゃあ、私はお手拭きで口を拭う。光陽の」

「えへへー」

「じゃあ、ボクは姉妹愛を写真におさめるため、スマホを構える。皿洗いは放棄する」

「さらあらいのしょゆうけんが、お姉ちゃんにうつった」

「写真に映ったからって、皿洗いを放棄しないでちょうだい」

「ならボクは、箒で光陽の落とした奈良漬けを掃除する」

「はあ、仕方がないわよ」

「華恋おねーさま、ちり取り」

「光陽!それ私の腕!この流れ、まずい!」

「腕相撲してて、とボクはシャッターチャンスを狙う」

「7歳とは思えないパワー!ああん、筋肉痛で右腕が動かないわ。お姉さん、代わりに」

「筋肉痛の妹は放置して、ボクは全力で」

「光陽、御姉様にプロレスごっこしてちょうだい」

「らいあっと!」

「ラリアット、とボクはしゃべれないぃ・・・」

「その間に、私は靴下を脱がしてくすぐり攻撃」


「やめてね?ボクの性感帯だからね!?ひゃうん!」

「反撃が恐いので、今日はこれだけにしておいてあげる」

「許す!」


ようやく光陽が華恋からじゃれつくのをやめました。


「お姉さん」

「はい」

「性感帯という言葉は相応しくないわ。弱点ということを認めなさい」

「気をつけます、とボクは姿勢をただしながら」

「けーかんたい?」

「そうね。今はお姉ちゃんが警官の時間帯」

「ボク?」

「私」

「ひかりは?」

「新幹線」

「よし!明日は温泉旅行だ!」

「虚しくなるだけなので、パス」

「スパだけに?」

「きびしい」


「2対1だと反論できないわね」

「まあ、陽華の気持ちも汲んで、なしにしておこう。とボクは普通に言う」


「これからニューヨーク?」

「入浴ね」

「挿し絵がないから、私の裸は見られずに済む」

「じゃあ、ボクの裸体を好きなように想像してくれたまへ」

「屁?」

「光陽、お姉ちゃんは下ネタに厳しいの。変なこと言っちゃ、駄目よ」

「ちっぱい!おっぱいないないのうた~」

「全国のひんぬー同盟の人を敵に回したわね」

「ひんぬー?」

「お姉さんも、光陽に合わせない」

「せんげんする!おねーさまはふろばでろしゅつする!!」

「風呂場に出現、が正しい表現ね」

「じゃあ、突発露出事件発生!」

「ひゃあー」

「華恋お姉さん、ひとりヌードデッサンしててね。鏡見ながら。その間に、私は光陽をお風呂に入れてくるわ」

「ちょっとまって!ボクの裸体の描写は?」

「挿し絵がつくのをお楽しみに、と私はメタ発言して幕引きする」

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